在庫管理は必要な商品を、必要な量で、必要な場所へ必要な時期に供給することが可能なように、自社の最適な水準で維持してさせていく活動のことです。在庫管理の目的は主に以下の2つになります。
- 在庫回転率を向上させること
- 在庫をメインとした物の流れを操作すること
本記事では、ネットショップにおける在庫管理方法や、管理のポイントを解説しています。ネットショップで売上アップを目指している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ネットショップにおける在庫管理の重要性
在庫管理を適切に行うことは利用者の満足度を向上させるだけでなく、売上や経営にも良い影響を与えます。まずは在庫管理の重要性について説明します。
在庫切れによる機会損失を防ぐ
在庫管理が適切に行えていれば、在庫切れによる販売機会の損失を防ぐことが可能です。
ネットショップは実店舗と異なり、24時間注文が入る可能性があります。対応時間外に商品が売り切れてしまうと在庫の補充ができません。在庫切れになると購入を検討していた顧客への販売機会を失ってしまいます。
また、たびたび在庫切れの状態が起きてしまうと、顧客の満足度も下がってしまい、競合他社で購入するようになるでしょう。顧客が自社のネットショップに戻ってこなくなるリスクもあります。
実店舗との併売に対応する
在庫管理を厳密に行えば、売り違いや人的ミスを防ぎながら実店舗との併売に対応できます。
ネットショップに加えて実店舗を持っている場合、売り違いが発生する可能性があります。売り違いとは、実店舗の営業時間内ではまだ商品があったものの、営業時間外にネットショップでの購入が相次ぎ、在庫がなくなってしまう状態のことです。
また、ネットショップの売上が伸びてきた際、実店舗と併せての在庫数の調整や受注確認など、在庫管理がより煩雑になり人的ミスも起こりやすくなるでしょう。
売り違いや人的ミスを防ぐためには、どちらもつつがなく対応できるように、適切に在庫管理しなければなりません。
売上・経営にも影響する
在庫は別名「棚卸資産」と言われており、仕入れや売上など企業経営に直結する土台になります。在庫を適切に管理できていないと、市場競争で勝つことは難しいでしょう。
また、在庫を保有することは、税法上では現金を持つことと同じ扱いになるため、所有分の法人税もかかります。長期期間在庫のまま放置していると、不良在庫としての取り扱いになり、決算時に換金資産として税金を支払わなければなりません。
販売機会を逃がさないように在庫を用意すれば良いという単純な話ではなく、在庫管理ができていないと経営が難しくなる可能性もあるのです。
ネットショップにおける在庫の管理方法
ネットショップにおける在庫管理の方法は、以下が挙げられます。
- 自社の在庫管理を工夫する
- 在庫管理システムを導入する
- 在庫管理サービスを活用する
それぞれ解説するので、チェックしていきましょう。
自社の在庫管理を工夫する
最初に検討したいのが自社の在庫管理を工夫することです。自社で取り組める工夫を4つ紹介するので、まだ取り組んでいないものがあるか確認してみてください。
各工程におけるルール・マニュアルを策定する
在庫管理の1つの方法として、明確なルールを作成することが非常に重要です。ルールは属人化することがないように、誰にでも伝わるような具体的で分かりやすいものにしましょう。
ルールを徹底すると次のようなメリットがあります。
- 作業する際に時間を削減できる
- スタッフ同士で共有しやすくなり会社内の風通しもよくなる
- 自己判断での作業がなくなるため、ミス防止になる
ルールは各工程で細かく作り、すべてマニュアル化しておくことが大切です。
棚卸の頻度を上げる
効率化できる在庫管理の方法として、棚卸しは作業負担の多い業務ですが、逆にこまめに行う方が在庫管理を適切に行えます。
棚卸しを定期的に行うことで、在庫の差異や保管状態など製品の状況に問題が発生していたとしてもすぐに対応が可能です。反対に棚卸作業を行う期間の間隔が開いてしまうと、どこで問題が起きたか探るのに時間がかかり、在庫の誤差自体が大きくなることもあります。
商品を番号別に管理する
商品ごとに番号を振り、番号別に管理するといった方法もあります。
とくにアパレルなどの場合は、同じ商品でもサイズやカラーが異なるため、別々に管理しなければなりません。番号を振ることで、どの商品のどのサイズ、カラーなのかをすぐに判断できるでしょう。
また、番号別に振り分ける場合、その番号がどこにあるのかわかるようにするためのロケーションの管理も大切です。他にも、バーコードなどで管理できるようにすれば在庫管理がしやすくなり、業務の効率化が期待できるでしょう。
発注方法の見直し・確定
商品の発注には主に、定量発注方式と定期発注方式の2つにわかれます。
・定量発注方式
事前に決めた数よりも少なくなったら発注する方式。常に売れる商品に適しているが、売れ行きに変動がある場合にはあまり向いていない。
・定期発注方式
週や月ごとに発注のタイミングを決めて発注日になれば在庫を確認し、必要な数量だけ発注する方式。定量発注方式とは反対に、売れ行きに変動がある季節ごとの商品に向いている。
どちらの発注方法が良いかは、取り扱う商品によって異なるため、商品ごとに適切な方法を選びましょう。
在庫管理システムを導入する
在庫管理の効率化には、人の手だけでなく、システムの導入も検討してみましょう。
在庫管理システムは、web上で在庫状況を確認でき、複数の拠点がある場合は一括管理できるといったメリットがあります。また、在庫数の確認から発送まで簡単に行うことが可能です。
例えば、在庫管理をエクセルのシートを使って人的作業にすると、ミスが起こる可能性があります。しかし、在庫管理システムであればシステムが自動で行うため、人的ミスの心配がありません。売上が向上し工程が増えるほど、恩恵を受けられるでしょう。
ただし、システムの導入にはコストがかかるうえ、システムの操作を覚えるという新たな作業が増えます。無料で利用できるものはなかなかありませんが、システム導入後の人的コスト削減やミスの減少、作業効率の費用対効果を考えたうえで、導入するべきかどうか判断しましょう。
在庫管理サービスを活用する
自社での在庫管理が難しいと感じた場合は、在庫管理をアウトソーシングするのも一つの方法です。在庫管理のプロに任せることで在庫を適切に管理できるほか、人員を別の業務に充てられます。
自社だけで管理していると、売上が増えて作業が多くなってきた頃や、取り扱う商品が増えてきた場合に在庫管理が難しくなるケースも考えられるでしょう。
ネットショップで取り扱う物量が増えてきたのであれば、外部への委託を検討するタイミングでもあるため、一度検討してみましょう。
ネットショップの在庫管理のポイント
ネットショップは実店舗と違い、仕入れ状況を顧客と話せません。そのため、在庫切れが続いてしまうと信用を失うという問題があります。
信用を失わないためにも、ネットショップならではの工夫を取り入れてみてください。
在庫数を表示する
在庫数が少ないものや入荷数に限りがあるものは、残りがいくつなのかを商品ページに表示するようにしましょう。在庫の程度によって、顧客が購入を決める判断軸になる可能性があるためです。
在庫があることで購入を決める顧客がいれば、残りが少ないことを知って購入を決める方もいます。在庫数を表示する機能を取り入れると販売機会の損失を防げます。
入荷時期がわかるようにする
在庫が切れてしまった際に、次の入荷日がわかるようにしましょう。そうすれば、次回の入荷ですぐに購入してもらえる可能性が高まります。
入荷情報はメールのほかにも、X(Twitter)やInstagramなどのSNSと連携すると幅広く伝えられるため効果的です。
まとめ
ネットショップの在庫管理を適切に行えば、在庫切れによる機会損失を防ぎ、顧客への信用にもつながります。また、実店舗と併売しているのであれば、実店舗と売り違いが起きる可能性も減らせるといったメリットがあります。
在庫管理を強化するには、自社の工夫に加えて、システムの導入や業務全体をアウトソーシングする方法もあります。
それぞれ特徴が異なるため、どのように効率化するかは自社の状況や使用できるコストなどを把握したうえで、実現可能なものから取り組んでみましょう。
浜松委托運送では、独自のWMSを活用して在庫管理を行なっています。また、abc分析を行い、ロケーション管理するなどでロスを減らすことも可能です。通販代行も行なっているので、ぜひお気軽にご相談ください。
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