アパレル業界においては、「在庫管理に課題を感じている」「適切に管理するノウハウを知りたい」といった悩みの声がよく上がります。アパレルは季節を先取りした商品を扱うため、適正在庫を保つのは簡単ではありません。また、トレンドの移り変わりにも大きな影響を受けるでしょう。
本記事では、アパレルの在庫管理が難しい理由やその改善方法を解説します。適切な在庫管理をするための具体的なポイントも紹介しているので、在庫管理に悩んでいる方はぜひご覧ください。
目次
アパレルの在庫管理が難しい理由
アパレル業界において、在庫管理は大きな課題です。在庫管理を難しくする理由には、以下が挙げられます。
- 需要予測が難しい
- 商品のライフサイクルが短い
- アウトレットによる在庫処分がある
- 複数のチャネルによって在庫管理が煩雑になる
適切に管理しなければ過剰発注やカウントミスを招き、売上と経営状況にも影響を及ぼす可能性があるでしょう。商品の特性も交えながら、アパレルの在庫管理が難しい理由を解説します。
需要予測が難しい
アパレルは店舗の特性や立地で売れる商品が変わります。例えば路面店とデパートに入っている店舗では、売れる商品や需要が異なるでしょう。
また同じ店舗であっても、展開している地域によってはニーズが違う可能性があります。北海道と沖縄では気温に大きく差が生じるため、同じ商品が同じ数量売れるとは限りません。
同じ系列でも店舗によってニーズが異なることから、適切に在庫を確保するのは容易ではありません。アパレルは国や地域、気候によっても左右されやすく、需要予測は難しいといえます。
商品のライフサイクルが短い
アパレルは通年で売れる商品はほとんどなく、季節やトレンドごとに商品が入れ替わるのが特徴です。同じ季節でも、1年後に現在販売している商品が売れるとは考えにくいでしょう。
また、ピークを過ぎた商品は価値が下落し、すぐに定価割れしてしまいます。ファストファッションの台頭でトレンドの変化がさらに早くなっているため、利益を生み出すどころか、割引をしなければ売り切ることすら厳しい状態です。
アウトレットによる在庫処分がある
売れ残ったアパレル商品は、アウトレットで販売するケースもあります。しかし、アウトレットに回せるという意識が、過剰在庫を引き起こす原因になるかもしれません。
商品を処分するよりはアウトレットに出品するほうが良いですが、原価割れしているアイテムがほとんどであり実質は過剰在庫です。また、アウトレット品として販売する可能性を考慮して、商品を保管しておく手間もかかります。
複数のチャネルによって在庫管理が煩雑になる
以前までは店頭販売が主流でしたが、現在はECサイトやアプリなどからも購入できるようになりました。その一方で、販売機会が増えるぶん管理が煩雑となりやすい点に注意が必要です。
実店舗とECサイトの管理が適切にできていなければ、どちらかで品切れになりクレームの原因となります。複数の購入経路があれば顧客満足度の向上にはつながりますが、手間が増えてしまう点が課題だといえるでしょう。
在庫管理におけるミスが起きやすい
ITシステムを導入して検品を進める企業もあるなか、目視で検品をするアパレル会社も少なくありません。ただし、アパレルはカラーやサイズ展開が多いため、どれだけ注意深く検品をしてもミスは発生するものです。
検品ミスが続くとやがて在庫に誤差が生じるので、適正在庫を維持するのが難しくなり、過剰発注や機会ロスにもつながります。
アパレルの在庫管理を改善する方法
アパレルの在庫管理を改善するためには、適正在庫を維持することが理想的な状態です。適正在庫を維持するための取り組みには、以下3つが考えられます。
- 在庫状況を可視化する
- 在庫スペースを整理する
- スタッフの在庫管理業務を標準化する
それぞれのポイントを詳しく見てみましょう。
在庫状況を可視化する
カウントミスや機会損失を防ぐためには、商品の在庫を全従業員が把握しておくことが望ましいといえます。在庫の数量や保管場所を正確に把握できるような工夫をしましょう。
在庫管理表の作成や管理ルールの策定など、誰もが在庫の状況をわかるようにすることが重要です。共通認識を持って業務にも取り組めるので、属人化を防げるメリットもあります。
在庫スペースを整理する
色やサイズ、売れ筋商品などで保管場所を決めると、在庫を管理しやすくなります。シーズンの切り替わり時に合わせて、レイアウトの変更や倉庫の整理をするのもおすすめです。
特に、過剰在庫になると倉庫内が商品で溢れてしまうので、場所を可視化しても効果が薄れてしまいます。定期的に棚の整理やレイアウト変更をして、調整を行うようにしましょう。
また、変更のたびに情報共有を徹底します。配置やルールが変わったことで、スタッフの混乱を招かないよう留意してみてください。
スタッフの在庫管理業務を標準化する
在庫管理の方法が煩わしければ、倉庫を整理・在庫を可視化しても意味がありません。この場合、誰でも管理しやすいように、簡単なマニュアルやルールを用意するのが有効です。
アルバイトや勤務歴の長いベテランの方まで、経験を問わず誰でも管理できるのが理想といえます。費用はかかりますが、在庫管理の時間を短縮できるハンディーやシステムの導入を検討しても良いでしょう。
具体的な在庫管理方法
アパレルの在庫管理の具体的な方法は、以下のとおりです。
- 在庫管理表
- POSシステム
- 在庫管理システム
それぞれの特徴やメリットを紹介します。
在庫管理表
品名や数量、仕入れた日付などを記入し、保管情報を正確に管理しておく表を在庫管理表といいます。手書きでも作成はできますが、在庫が増減するたびに情報を更新する必要があるため、ミスが発生しやすくなるかもしれません。
在庫管理表は、エクセルを使用することで導入費を抑えられるのがメリットです。その反面、入力漏れや記入ミスなどヒューマンエラーがついて回ります。いつ更新されたかもわかりづらいため、膨大な商品を正確に管理するのは厳しい場合があるでしょう。
POSシステム
POSシステムは、バーコードで商品を読み取るため入力ミスが発生しづらい点がメリットです。ネットワークにつながっていれば、店舗や事務所などどのような場所にいても在庫を確認できます。また、バーコードをスキャンするため、目視や手入力による人的ミスを防ぎやすくなるでしょう。
ただし、大量の商品をスキャンする際はバーコードの読み込み忘れに注意が必要です。
在庫管理システム
在庫管理システムとは、入出荷や倉庫の状況などを適時把握できるツールです。入荷状況や在庫管理表への反映が自動化され、一つひとつ手入力で対応する必要がありません。
ミスを防げるだけでなく、過去のデータも確認できるので販売予測を立てられます。発注する際の手助けとなってくれることから、適正在庫を保ちやすくなるでしょう。
浜松委托運送では独自の在庫管理システム(自社WMS)を採用しています。ご要望に合わせてオーダーメイドでシステムをカスタマイズできるため、柔軟性が高く、より効率的な物流を実現可能です。
まとめ
アパレルはトレンドの移り変わりが早く、適正在庫を保つことの難しさが課題です。また、カラーやサイズが多数展開されている商品は、目視で検品するとミスを引き起こしやすく、在庫数にも影響を及ぼします。
在庫を適切に管理するには、棚の整理やレイアウトを整備したうえで、在庫の状況を全スタッフが理解できている状況が理想です。また、システムを導入するとカウントミスや検品のミスを防ぎやすくなるでしょう。
在庫管理について詳しくはこちらのページでも解説しています。
浜松委托運送ではアパレル商品の取扱い実績があります。下記のページでサービスの内容や作業フローを紹介しているので、ぜひご確認ください。
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