通常の倉庫と異なり、氷点下での保管ができる冷凍倉庫。冷凍食品の需要の増加やコロナ禍の影響などから、近年ニーズが高まっています。活用することでどういったメリットがあるのでしょうか。
この記事では冷凍倉庫の定義やニーズが高まっている理由をご紹介します。選ぶ際のポイントも紹介しているので、冷凍倉庫の委託を検討されている方はぜひチェックしてみてください。
目次
冷凍倉庫とは?
冷凍倉庫とは、マイナス18℃以下の温度で商品の保管ができる倉庫です。近年では、長期保存の必要な食品が多く流通しており、冷凍倉庫の必要性が高まっています。主に冷凍マグロや畜肉など、鮮度が大切な食品の保管に適しています。
下記で詳しい概要を確認していきましょう。
冷凍倉庫の定義
参考:保管温度帯について | 見る・学ぶ | 一般社団法人 日本冷蔵倉庫協会
物流倉庫には一定の温度に保たれている倉庫があります。そのうち、10℃以下で管理されているものを冷蔵倉庫といいます。
冷蔵倉庫は、温度帯によってさらに二つに分けることができ、-18度以下のF(フローズン級)で保たれているものを冷凍倉庫といいます。イメージとしては、冷蔵倉庫という大きな分類の中に、冷凍倉庫が内包されていると捉えてください。
冷凍倉庫の保管温度に関しては、以下の記事で解説していますので、読んでみてください。
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冷凍倉庫の仕組み
冷凍倉庫では、温度を極低温に保たなければならないため、室温を氷点下に設定できるような特殊なエアコンや、搬入口を密閉するドックシェルターなど通常の物流倉庫には設置されていない仕組みが用いられています。
冷凍倉庫には結露による衛生リスクがあるため、結露の発生を抑えたり、発生した結露を排出するための対策もなされています。
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冷凍倉庫に保管する食品
既存内容をそのまま流用ここでは冷凍倉庫に保管する食品をまとめます。
-2℃ 〜 -20℃ | 精肉、乳製品、練商品 |
---|---|
-20℃ 〜 -40℃ | アイスクリーム、畜肉、魚介 |
-40℃ 〜 -50℃ | 冷凍マグロ |
-20から-40℃までの冷凍倉庫に、アイスクリームや畜肉、魚介が保管され、-40℃以下では極低温が必要な「冷凍マグロ」が保管されています。
冷凍倉庫の賃貸ニーズが高まっている理由
近年、冷凍倉庫の賃貸ニーズが高まっています。その理由としては、急速な需要の増加と、冷凍倉庫に求められている役割の増加が挙げられます。詳しく見ていきましょう。
食品業界・冷凍食品における需要の増加
冷凍食品の賃貸ニーズが高まっている理由として、冷凍食品の需要の増加があります。
冷凍倉庫で保管されている食品は生活の変化とともに変化しています。冷凍倉庫は20世紀の終わりまで、主に水産物の冷凍保存をする場所でしたが、現在では冷凍食品が保管する食品の3割以上を占めています。
2020年に行われた工業統計調査(総務省・経済産業省)によれば、2015年から2019年の5年間で、冷凍調理食品の製造・出荷額は1割以上アップしており、冷凍倉庫のニーズが大きく増加していることがわかります。また業務用だけではなく、冷凍の弁当や冷凍のおせちなどの個人用消費のニーズも高まっています。
2021年の矢野経済研究所の低温物流市場の調査(※)によると、2020年の低温物流市場規模は前年度比98.3%で、やや減少傾向でした。これは、コロナ禍による飲食店向けの食品需要の減少が原因です。コロナの影響による飲食店の需要減も回復傾向にある今、冷凍倉庫の需要はますます高まっていくと予想されます。
※低温物流市場に関する調査を実施(2021年) |ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所
自社で大規模な冷凍倉庫を建築するハードルが高い
自社でゼロから大きな冷凍倉庫を建築することは、一般的な倉庫の建築と比べてハードルがかなり高いです。
物流倉庫の建築には、消化・防火設備や防水設備といった対災害用の設備や、商品の保管に耐えうるような床の強度設計、中の商品を守る防犯対策などといった構造の設計が必要になります。そのうえ、冷凍倉庫独自の設備である温度管理システムや、ドッグシェルターなどの整備も必要です。
また、長期的に発生するメンテナンス費用やランニングコストを考慮した「維持費」も考える必要があります。こういった設備や維持費の面から、自社で大規模な冷凍倉庫を建築するのは難しいと考えられます。
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冷凍倉庫に求められる内容が多様化している
近年、冷凍倉庫を含めた物流関連の施設で求められる機能は大きく変化しており、賃貸ニーズが高まっている理由の一つになります。
以前の物流倉庫は商品を保管することがメインでした。しかし、現在では集配送や流通加工までも物流倉庫で行う業務になっています。
入庫から配送までの対応となると、おのずと施設規模も大きくする必要があります。冷凍倉庫に求められる内容の多様化もまた、上述の建築ハードルの高さにもつながるといえるでしょう。
冷凍倉庫を外部に委託するメリット
冷凍倉庫を外部に委託するメリットは非常に大きいです。冷凍倉庫はただ食品を低温で保存するだけではなく、物流倉庫としての機能も備えています。
外部に委託するメリットについて確認していきましょう。
入庫から配送まですべてを代行依頼できる
冷凍倉庫では、入庫から配送まで代行依頼が可能です。倉庫を管理する業者が独自の技術を使用して、商品の入荷、保存や管理まで徹底して行います。
代行依頼可能な作業は以下のとおりです。
- 入庫
- 全国配送
- 在庫管理
- 入庫
- 送り状の発行
「入庫、管理、出庫」の一連した作業工程を任せることができます。AIシステムの導入により商品管理やロット管理など正確に行うため、「商品漏れ」も防ぐことができます。
保税倉庫も合わせて一気通貫で対応してもらえる
冷凍倉庫で取り扱う商品は主に食品です。この食品は日本国内の商品だけではなく、海外からの輸入品であることも少なくありません。海外から輸入するとなると、税関手続きを行う必要があり、保税地域で管理しなければなりません。
そのようなときに保税倉庫と冷凍倉庫を兼ねる倉庫であれば、税関手続きと流通加工、保管を同時に行うことができ、一気通貫で対応が可能になります。一気通貫で対応することにより、コスト削減になるとともに、物流倉庫感の連携もスムーズになります。
浜松委托運送は関東と関西の中間に位置する浜松市に立地しており、保税倉庫を保有しています。ワンストップで物流業務に対応することができるため、入荷から出荷までシンプルになるとともに、納期までのリードタイム短縮につながっています。
保税地域の特性についてはこちらのページでも詳しく紹介しています。輸入貨物の取り扱いがある、検討しているといった方は、ぜひチェックしてみてください。
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品質を保ったまま長期間保管できる
冷凍倉庫では食品を冷凍して保管するため、長期保存でも消費者に新鮮な食品を提供することが可能です。
また、もしも商品が何らかの理由でキャンセルや発送ができなくなった場合にも、廃棄せずに保管することができます。
常温倉庫では廃棄しなけらばならなかった食品の食品ロスを防げるのです。冷凍倉庫の仕組みのおかげで、消費者に新鮮な食品を提供できるのです。
冷凍倉庫の選び方
続いて、冷凍倉庫を選ぶポイントをご紹介します。重視するポイントは下記の通りです。
- 繁忙期・出荷波動における対応
- 冷凍品や類似商品を取り扱った実績
- 倉庫や業務の管理体制
- トラブル時のサポート
- コストとサービスのバランス
順番に詳しく見ていきましょう。
繁忙期・出荷波動における対応
倉庫内の在庫量は時期によって変動します。そのため、在庫量が頻繁に変化した場合でも柔軟に対応できるかを確認しましょう。
特に繁忙期は在庫料が跳ね上がることが多く、倉庫によっては、通常の3倍の量を保管しているケースもあります。繁忙期の物量に対応できなければ、別の冷凍倉庫を探す必要があるでしょう。この場合は、別途でコストが必要となり、冷凍倉庫を探す手間も発生します。
こうした問題を避けるためには、規模が大きく仕組みが確立された冷凍倉庫を選ぶことがポイントです。
冷凍品や類似商品を取り扱った実績
まずは「冷凍品を扱った実績」を確認しましょう。問い合わせる前にホームページを確認し、冷凍品の配送・管理実績など、自社の目的に合わせた実績をチェックします。さらに自社で取り扱っている商品と同じような商品があれば、その商品を扱うノウハウがある可能性が高いでしょう。
倉庫や業務の管理体制
「冷凍食品を適切に管理できるか」は重要なポイントです。適切な温度管理ができていないと、消費者からのクレームや自社の信用低下につながってしまいます。
倉庫全体の管理はもちろん、出荷や検品における管理体制を確認しておきましょう。誤出荷や在庫管理のミスなども物流品質の低下の原因になります。例えば、商品をバーコードで管理しているような、ミスを防ぐ取り組みがあるかどうかが重要です。
このような管理体制については、事前にホームページや打ち合わせのタイミングで確認しておきましょう。
トラブル時のサポート
食品会社は土日も稼働している会社が多いため、土日も対応可能なヘルプデスクを設置している企業がおすすめです。
土日に発生したトラブルへの対処が遅れると、物流が滞るだけでなく、他の業務も遅延してしまい、事態が深刻化する可能性があります。このような事態を避けるためにも、ヘルプデスクを完備し、土日も手厚くサポートしてくれる委託先を選ぶと良いでしょう。
コストとサービスのバランス
委託する際にはコストの確認も行います。
ポイントとしては、コストだけに執着せず、「自社が求めているサービスは提供してくれるのか」をしっかり確認することです。コストの安さだけを理由に選んでしまうと、理想としている業務が実現できなかったり、トラブルに遭遇したりすることもあります。
業務を効率よく進めるために、委託する範囲を明確にしましょう。業務全般を委託した場合でも、逆に流動性が低くなり効率が悪くなることもあります。
打ち合わせの際には、自社の物流における課題を伝え、それをどのような方法で改善可能なのかを聞いておきましょう。自社の課題が解決できなければ、かえって効率が悪くなってしまうかもしれません。
冷凍倉庫のまとめ
冷凍倉庫は一定の低温で商品を保存できる物流倉庫です。現代における冷凍食品のニーズなどを背景に、冷凍倉庫の賃貸ニーズは高まり続けており、その傾向は今後も続くことが予想されます。その中で自社に適した冷凍倉庫を選べるかどうかが、物流効率化の鍵を握ります。
浜松委托運送の冷凍倉庫には、冷凍倉庫としての機能だけではなく、保税倉庫の機能も有しています。そのため、国内だけでなく海外の食品を取り扱う場合も大変便利です。また、流通加工も得意としており、ワンストップで物流業務の対応が可能です。
冷凍倉庫のアウトソーシングを考えている事業者様は、ぜひ一度検討してみてください。
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