冷凍倉庫(冷蔵倉庫)の耐用年数・減価償却についてどれほどご存知でしょうか。これか倉庫業を始めたい人にとっては必要不可欠な知識と言えます。
そこで本記事では、冷凍倉庫(冷蔵倉庫)の法定耐用年数表をもとに、減価償却の算出法をご紹介します。
これから倉庫業を始めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
冷凍倉庫(冷蔵倉庫)の法定耐用年数
冷凍倉庫(冷蔵倉庫)の法定耐用年数は「12〜24年」とされており、一般的な倉庫より短いです。しかし、実際には24年以上使っている事業者も多く、設備が古くなるまで倉庫を使用する経営者も多いです。
また、減価償却期間が短い方が節税効率が上がるメリットもあります。減価償却期間が短いと多くの費用を計上できるため節税効率が高くなります。事業者が施主の場合は、生み出した利益で再投資を検討することもできるでしょう。
また、冷凍倉庫(冷蔵倉庫)の要件については、下記をご覧ください。
冷凍倉庫(冷蔵倉庫)の要件と現地調査の必要性について
- 非木造の倉庫である※鉄骨造、鉄筋コンクリート造、軽量鉄骨造など木造以外の資材で作られている家屋
- 倉庫自体に冷蔵機能がある
- 保管温度が摂氏10度以下に保たれている
- 冷蔵倉庫部分の床面積が家屋1棟の面積の50%以上である
ご覧のとおり、倉庫の設計や運営には定められた要件を満たす必要があります。要件を満たすには、まずは事前の現地調査から始めましょう。倉庫業を運営できる環境なのか確認する必要があります。
冷凍倉庫の耐用年数と減価償却に関するポイント
続いて、冷凍倉庫の耐用年数と減価売却に関するポイントを紹介します。
- 中古の冷凍倉庫の償却年数
- 冷凍倉庫における減価償却と固定資産税の関係
- 大掛かりな修繕で発生した費用は固定資産税扱いとなる
- 冷凍倉庫の事務所の法定耐用年数
それぞれ順番に解説します。
中古の冷凍倉庫の償却年数
中古の冷凍倉庫の償却年数は、計算式で算出できます。ここでは、中古の冷凍倉庫を買い取った場合を想定し、償却年数の算出法を紹介します。
償却年数の計算式
■経過年数が法定耐用年数を超えている場合
償却年数=法定耐用年数✕0.2
■経過年数が法定耐用年数内である場合
償却年数=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数✕0.2
参考元:国税庁「中古資産の耐用年数」
法定耐用年数24年の鉄筋鉄骨コンクリート造の冷凍倉庫で経過年数が15年の場合は、「(24-15)+15✕0.2=12年」の計算式になります。
この場合、計算式で出た償却年数の12年は「法定耐用年数24年-経過年数15年=9年」より長くなるため、毎年の減価償却費は少なくなってしまいます。
しかし、事業者にとっては、償却年数は融資期間を決める指標になるので、償却期間が長いほど長く借り入れできる点はメリットと言えるでしょう。
冷凍倉庫における減価償却と固定資産税の関係
まずは、建物の評価額を決定するときの計算法を紹介します。評価額の計算法は以下のとおりです。
建物の評価額(課税標準額)= 評点1点あたりの価額×床面積×単位面積あたりの再建築費評点×経年減点補正率
また、冷蔵倉庫については、評価額が早く減少する経年減点補正率基準表が適用されています。冷凍倉庫に該当するには実地調査が必要のため、事前に「冷蔵倉庫の要件」を確認しておきましょう。
また、冷凍倉庫の経年減点補正率が最終原価率0.2に到達する経過年数は以下のとおりです。
経年減点補正率の最終減価率(0.2)に至るまでの年数
冷蔵倉庫の構造 |
改正前 |
改正後 |
鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造 |
45年 |
26年 |
煉瓦造、コンクリートブロック及び石造 |
40年 |
24年 |
鉄骨造(骨格材の肉厚が4mmを超えるもの) |
35年 |
22年 |
鉄骨造(骨格材の肉厚が3mmを超え、4mm以下のもの) |
26年 |
16年 |
鉄骨造(骨格材の肉厚が3mm以下のもの) |
18年 |
13年 |
平成23年度までは、非木造の冷凍倉庫は一般の倉庫と同じ経年減点補正率基準表が使われていました。しかし、平成24年度から一般の倉庫と比べて家屋の評価額が早く減少する仕組みになっています。
償却年数の減少により固定資産税の減少も早くなっています。
大掛かりな修繕で発生した費用は固定資産扱いとなる
大掛かりな修繕で発生した費用は、固定資産税として扱われるので注意が必要です。大掛かりな修繕で資産の使用年数が伸びた場合、その出費は「資本的支出」となります。修繕費として処理できない場合もあるので注意しましょう。
また、修繕で発生した支出は、固定資産として扱います。減価売却をして少しずつ経費として計上することを覚えておきましょう。
冷凍倉庫の事務所の法定耐用年数
冷凍倉庫の建物が事務所として使われている場合は、倉庫と事務所のどちらか1つの法定耐用年数を適用します。合理性を判断して適用するため、倉庫の法定耐用年数を適用する場合がほとんどです。
たとえば、本来の事務所の法定耐用年数は50年と決まっています。しかし、冷凍倉庫が鉄筋コンクリート性の場合は24年の法定耐用年数が決まっているため、建物自体に適用される法定耐用年数は24年です。
まとめ
本記事では、冷凍倉庫(冷蔵倉庫)の法定耐用年数表や、減価償却の計算を具体的に解説してきました。
これから倉庫業を始めたい方にとっては、法定年数や減価償却の知識は必要不可欠です。とくに経営者の場合は、より具体的な法律に関わる知識も必要でしょう。
基準に従った倉庫業を行うためにも、耐用年数と減価償却のポイントは押さえておきましょう。
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