物流のなかでも、受注管理業務は重要な役割を担っています。従来はメールや電話、FAXなどで注文を受けるのが一般的でしたが、ネットショッピングの需要拡大とともに受注管理の方法も変化してきました。
しかし、受注管理をどのように最適化すれば良いのかわからないという事業者の方もいるでしょう。あるいは、業務をスムーズに行うためにシステムの導入を視野に入れている方も多いかもしれません。
本記事では、受注管理の業務内容とその課題も解説します。受注管理システムを導入するメリットやポイントもあわせてチェックしてみましょう。
目次
受注管理とは
受注管理とは、消費者から商品の注文を受けて、出荷の管理までを行うことを意味します。本来は、注文を受けることの業務を指していましたが、物流市場の拡大とともに業務内容も変化し、受注後の出荷までの業務を対応することもあり、今では販売管理の一部として認識されています。
発注者との関係も、BtoBの場合もあればBtoCの場合もありそれぞれです。状況に応じて、新規の顧客の場合は見積もりの提示を行ったり、契約を締結したりすることも業務の一環となります。
受注管理の業務内容
受注管理の業務は、大きく5つのプロセスに分類されます。プロセスごとの仕事内容を具体的に見てみましょう。
見積書の作成
顧客から注文内容を聞き、見積もりの作成を行います。取引の実績や内容、発注商品の数量に適した金額を設定する必要があるでしょう。状況によっては、競合企業と比較しながら複数回見積もりを作成することになるかもしれません。
ECサイトのようなBtoCでは、見積もりの作成は1回で済むケースがほとんどです。ただし、BtoBでは顧客の条件によって調整が必要になり、そのたびに見積もりの作り直しが発生する場合もあります。
見積書に記載する項目の例は、以下のとおりです。
- 見積もり日
- 見積書番号
- 納品予定日(納期)
- 納品場所
- 商品名
- 見積もりの有効期限
- 見積もり金額
契約締結
作成した見積もり金額と取引条件の内容に同意を得られたら、契約の締結を行います。顧客とのトラブルを防ぐために、保証期間、納期、支払日や支払い方法などをよく確認しておきましょう。
受注内容の登録
契約を締結して注文が確定したら、確定内容の登録が必要です。登録した情報は、生産部門や在庫管理部門の担当に共有され、出荷の準備が開始されます。
受注が初めての場合は、顧客情報の登録・管理も行うことになるため注意しましょう。
在庫・納期の確認
注文が確定した商品の在庫を確認し、在庫がある場合は出荷に向けて準備を進めます。在庫がない場合は、生産部門と連携を取りながら仕入れ先に連絡をし、在庫を補充しましょう。
顧客には納期の日程を連絡するなどの丁寧な対応を行い、信頼関係を築いていくことが重要です。
受注伝票・注文請書の作成
受注商品の在庫確認と納期の連絡が完了したら、受注された記録を残すために受注伝票の作成を行います。紙面に残す場合もあれば、データ入力で保管する場合もあるなど、企業によって作成方法はさまざまです。
また、作成した受注伝票をもとに、顧客に向けた注文請書の作成も行ってください。この時点で注文が確定となります。注文請書の発行はマストで必要というわけではありませんが、ミスやトラブルを防止するためにも作成したほうが良いでしょう。
受注管理の課題
受注管理は物流を支える重要な業務である一方で、次のような課題も挙げられています。
- 受注から出荷までの工程数の多さ
- 受注窓口の多様化による人材不足
- 連携がスムーズにいかないと納品までの時間が長引く
受注管理が正しく行われなかった場合、顧客満足度の低下につながる恐れもあります。自社の受注管理の現状を今一度見直してみましょう。
受注から出荷までの工程数の多さ
受注管理では、受注から出荷までの工程数が多く、人的ミスの発生率が高くなる傾向にあります。工程数が多いと業務の煩雑化にもつながりやすく、ミスの発生と業務の煩雑化は大きな課題です。
とくに見積もりの作成や発注連絡などは、他部署との連携も必須となります。もし連携がうまくいかなければ、さまざまなミスが発生する恐れがあるでしょう。
業務に関わる人数が多いほど細かなミスが重なり、やがて大きな人的ミスへと発展しやすいため注意が必要です。
受注窓口の多様化による人材不足
受注の窓口は電話やメール、FAXに加え、インターネットからの注文も急増しています。インターネットでの受注を行うには専門的な知識とシステムの導入が必要になり、それらに適した人材の確保も課題の一つです。
人員を増やせば余裕を持って業務に向き合えるため、ミスが起こる確率は減らせるかもしれません。しかし、募集をかけても適合したスキルの人材が集まるとは限らないのが実情です。
また、企業によっては予算の都合で増員が難しい場合もあります。顧客にとって窓口の多様化は喜ばしいものですが、一方で人材の確保に頭を抱える企業も存在するでしょう。
連携がスムーズにいかないと納品までの時間が長引く
さまざまな部署との連携が必要な受注管理は、少しの連携ミスで納品に遅れが出てしまう場合もあります。連携ミスによる在庫不足やタイムラグが発生することで、納品までの期間が長くなり業務の効率化も低下してしまいます。
それぞれスムーズな連携が取れるよう、対策をしましょう。
受注管理は受注管理システムでの管理が重要に
受注管理は、発注者となる顧客と受注者をつなげる重要な役割を担っています。間違いがないよう受注を行い、在庫・生産管理部門に正確な指示出しをする必要があるなど、工程数は多いもののミスは許されません。
しかし、受注数の増加に伴い、人の手で行うアナログな方法の管理ではどうしてもミスの発生リスクが高まります。一つのミスからお客様からの信頼を失ってしまう可能性もあるため、受注管理システムを導入し、ヒューマンエラーを防ぐ工夫をしましょう。
受注管理システムを導入するメリット
受注管理システムを導入するメリットとして、次の3つがあります。
- 他のデータとの連携による業務効率化
- ヒューマンエラーの削減
- 顧客満足度の向上
システム導入を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
他のデータとの連携による業務効率化
他の業務システムとの連携をスムーズに行えれば、納品までにかかる時間や日数を削減できます。たとえば在庫管理システムと連携した場合、在庫情報の一元管理が可能です。これにより「受注後に欠品が発覚した」など不測の事態を避けられるでしょう。
また、販売管理システムや経理システムと連携すると、注文実績を転記する作業時間を削減できます。結果として、他のコア業務に人員を充てられる点もメリットです。
ヒューマンエラーの削減
受注管理をシステム化すると、それまで人力で行っていた作業を自動化できます。タイプミスや転記ミスなどがなくなり、正確なデータを反映されるようになるでしょう。
また、作業時間が減ることで、従業員の残業や休日出勤が必要だった企業では労働時間を削減できます。これにより、人件費を抑えることも可能です。
顧客満足度の向上
システムを導入した場合、電話やFAXで受けた注文を伝票に起こすといった手間を省けるため、受注業務を簡易化できます。また、取引内容がすぐさまデータに反映されることから、正確かつ短時間・短納期の実現が可能です。
他にも、急ぎの注文や小ロットの注文など、さまざまなニーズにも応えやすくなります。ひいては、一般消費者だけでなく取引企業の満足度向上にもつながるでしょう。
受注管理システム導入時のポイント
受注管理システムをただ導入すれば、ここまで紹介したメリットを享受できるというわけではありません。システムを吟味せずに選んでしまうと、導入後に後悔する可能性があります。
受注管理システムを導入するときには、次のポイントを念頭に置いておきましょう。
業務を見直し、導入の目的を明確にする
自社に合ったシステムを導入するために、まずは現状の課題を洗い出しましょう。どうして導入が必要なのか、どのような課題を解決したいのかを明確にします。
導入の目的が定まっていなければ、自社のニーズを把握できないまま活用しにくいシステムを選んでしまうかもしれません。また、システム導入をきっかけに自社の受注管理業務のフローを一度見直すことをおすすめします。
連携機能が充実しているか
社内で使用しているシステムと連携できるかは、製品によって異なります。導入する前に、既存システムと連携が可能かの確認は必須です。
うまく連携ができなかったとき、最悪の場合、両方のシステムに不具合が生じる可能性があります。利便性を求めたつもりが、修正にかかる時間や人的コストを失う結果となりかねません。
連携する際は入念に打ち合わせを行うなど、慎重に検討しましょう。また、今後出店を考えているECサイトがある場合は、そちらにも対応しているかチェックしておくと安心です。
費用対効果を考える
単純に受注管理の業務だけを効率化させたいならば、システム導入だけでも問題ありません。ただし、受注管理を含めた物流業務のオペレーション全体の効率化を目指す場合は、まとめて外部に委託するのも一つの方法です。
システムを導入するケースよりも費用はかかりますが、物流の専門業者によるノウハウを活用できるほか、業務全体の最適化を図れます。また、物流管理業務に割いていた人材をコア業務に充てられるため、全体の業務効率も上げられるでしょう。
浜松委托運送では、受注代行サービスを行っています。物流業務全体での対応はもちろんのこと、事業者様のニーズに合わせて委託内容を細かにカスタムすることも可能です。
まとめ
受注管理は販売管理の一つであり、その業務内容は多岐にわたります。EC市場の拡大によりその業務工程は煩雑化しているものの、プロセスごとの連携がスムーズにいかなければ納品までに時間がかかり、顧客満足度の低下につながるかもしれません。
すべての業務を正確にこなそうにも、工程数が多いと人的ミスはどうしても発生しやすくなります。このとき、受注管理システムの導入が有効な手立てとなるでしょう。
システムを導入すると正確なデータをすぐさま反映できるため、ヒューマンエラーを削減できます。作業工程が減れば他の業務に人員を増やせたり、人件費を削減できたりといったメリットも期待できます。
ただし、その強みを最大限活かすためにも、自社に適した受注管理システムの導入が必要です。物流業務全体の効率化を目指したいという場合には、まとめてアウトソーシングすることも検討しましょう。
物流業務の委託を考えているなら
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