物流とよく似た言葉に、ロジスティクスや流通、商流があります。物流業界に携わっていても、それぞれの細かな違いを説明できない方は少なくないでしょう。
「物流=輸送」と単純に捉えられることもありますが、物流には6つの機能と5つの領域があると言われるほど、輸送以外にもさまざまな要素を含んでいます。保管や荷役、流通加工までもがじつは物流の役割です。
本記事では、物流の定義や目的、重要性を詳しく解説しています。改めて物流について理解を深めることで、現状の業務効率化や、2024年問題の対策にもつながるため、ぜひ最後までご覧ください。
■この記事でわかること
- 物流の定義や目的
- 物流の機能と領域
- これから物流に求められるもの
目次
物流とは
物流とは、商品が生産されてから消費者にいたるまでの、一連の流れのことです。消費者は物流のおかげでさまざまな商品を購入できます。そのため、物流は社会に欠かせない役割を果たしているといえるでしょう。
物流の目的
物流の最終的な目的は、生産者と消費者のあいだの時間的なギャップと空間的なギャップを解消することです。
消費者は商品を適切なタイミングで受け取りたいと希望しています。それに対して生産者側は希望のタイミングで生産できるとは限りません。これが物流の時間的ギャップです。
また、生産者と消費者のあいだに空間的な隔たりが大きいと、消費者の入手が困難になります。これが物流の空間的ギャップです。このような隔たりを解消するためには、物流が保管・輸送の働きを担うことで効率的な在庫管理を行う必要があります。
物流の定義
物流と混同しがちなロジスティクス、流通、商流のそれぞれの意味を比較しながら、物流の定義を考えてみましょう。比較の際は、それぞれの言葉が指す範囲がポイントとなります。
■物流とロジスティクスの違い
ロジスティクス | 物流をさらに戦略的に考えたもので一元管理的な側面が強い |
---|---|
物流 | 物的流通の略であり、モノの一連の流れ |
■流通と商流との違い
流通 | 物流・商流のほか金流・情報流も内包している |
---|---|
物流 | 物的流通の略であり、モノの一連の流れ |
商流 | 商的流通の略であり、所有権・代金・情報の移動する流れ |
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物流とロジスティクスは似ているようで別物です。物流は「一連のモノの流れ」であるのに対し、ロジスティクスは「モノの流れを管理するシステム」であり、ロジスティクスが管理する対象は材料の調達・生産・在庫・販売・物流など多岐にわたっています。
また、ロジスティクスは物流戦略・物流対策という意味合いもあり、ロジスティクスのほうが物流に比べて広い意味で使われるでしょう。このためロジスティクスは物流の上位概念と捉えることもできます。
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流通には商流、物流、金流、情報流の4つの流れがあります。物流が生産者から消費者へとモノが提供される流れを指すとしたら、流通はモノ以外にもお金や権利の流れを含んだ用語です。
物流は流通を構成するひとつの要素であることから、流通のほうが広い意味を持っており、流通は物流の上位概念であると言えるでしょう。生産者と消費者のあいだにあるギャップを埋めるという役割を担う意味ではどちらも同じですが、物流はより物理的にこれを支えています。
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製品が生産者・卸売店・小売店・消費者の順に流れるとき、あくまでも「モノ」に注目した流れが物流です。一方、「所有権や代金、情報」などに注目した流れを商流と言います。
例えばローンで車を購入した場合、購入者はその車を自由に乗ることができても、ローンを完済するまで車の持ち主はディーラーもしくはローン会社となるでしょう。この所有権の流れを商流と言います。
物流の機能と領域
物流は輸配送だけでなく保管や荷役、梱包・包装、流通加工、情報システムという6つの機能を持っているほか、さらに5つの領域区分があります。この領域がそれぞれ確立されると、物流のさらなる効率化が期待できるでしょう。
物流における6つの機能
物流が持つ6つの機能について解説します。
配送・輸送 | 車や船、航空機によって生産者から消費者に送り届ける 配送および輸送手段は納期やコストをもとに決定される |
---|---|
保管 | 生産者と消費者の時間的隔たりを埋めるための保管(在庫管理) 倉庫に保管し、消費者がほしいタイミングで届けられるようにする |
荷役 | 荷物を車や船、航空機へ積み込む工程 指示のとおりにピッキング、仕分け作業 |
梱包・包装 | 輸送中の商品の破損などを防ぎ品質保護、維持するため 包装には個装、内装、外装の3種類がある |
流通加工 | 商品のギフト用ラッピング、商品の小分け作業、値札の貼り替えなど 海外製品の日本語マニュアル化を行うこともある |
情報システム | 倉庫管理システム「WMS(Warehouse Management System)」を用いてモノの流れを管理 上記5つの機能の効率化にも寄与している |
配送・輸送
物流が持つ6つの機能のうち、ひとつが配送・輸送です。配送・輸送のコストは物流コストのうちでも6割程度を占めると言われます。
配送と輸送の違いとして、近距離の小口配送をする場合は配送、海外工場などから長距離の移動を経て大量の荷物を運ぶ場合は輸送です。このときの配送・輸送手段には船舶や航空機のほか配送車などがあり、納期やコストに応じて決定されます。
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物流は保管の機能も担っています。生産者と消費者の時間的なギャップを埋めることが、物流の保管機能の目的です。
製品や原材料は倉庫・物流センターで保管され、必要なタイミングに合わせて配送されます。
荷役
荷役とは、鉄道・トラック・飛行機・船舶などの輸送手段に荷物を積み込んだり、積み下ろしたりする作業のことです。輸出の場合、コンテナに積み込むことをバンニングと言い、積み下ろすことをデバンニングと言います。
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- 個装:商品一つひとつの包装を指し、品質保護や価値を守ることが目的
- 内装:外装と内装の中間の包装を指し、水や湿気、熱などから商品を守ることが目的
- 外装:ダンボールや缶など商品の一番外側になる包装を指し、汚れを防ぐことが目的
梱包は、機械製品などを輸送する際、運ぶのに適した状態に包装するのに使われます。木箱や鋼製容器を用いるケースが一般的です。
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調達物流
調達物流は、原材料や資材などを調達するときのモノの流れを指す領域です。現在の主流は多品種少量生産で、原材料や資材の調達もジャストインタイム化(必要なものを必要なときに、必要量だけ供給すること)が求められています。
生産物流
生産物流とは、調達された原材料や資材の管理を含む工場内の流れなどを指す領域です。製品の管理・包装・工場内物流・倉庫までの発送なども、生産物流の領域になります。ときには複数の海外工場間の物流が必要になる場合もあるでしょう。
販売物流
販売物流とは、商品を消費者に販売するために運ぶ流れを指す領域です。生産工場から配送センターや卸店、小売店などへ移動させることはもちろん、オンラインショップで購入したものを消費者へ届けることも販売物流にあたります。消費者にとってもっとも馴染みのある領域が販売物流と言えるかもしれません。
回収物流
回収物流は、不良品や廃棄物を回収する際の流れを指す領域です。物流の領域は人間の循環器に例えられ、調達物流・生産物流・販売物流は動脈物流、回収物流は静脈物流と呼ばれます。販売物流とは反対に、消費者から生産者へとモノを運ぶ流れです。
消費者物流
消費者物流は、宅配便などのサービスをはじめとした個人向けのモノの流れを指す領域です。引越しサービスやトランクルームなどもこれに含まれます。
同時に消費者をクライアント(顧客)にする物流企業を指すこともあり、上記4つの領域とは別の流れとも言えるでしょう。
これからの物流に求められるもの
物流の役割や必要性は、時代とともに変化していくため、その時々のニーズを把握して動く必要があります。例えば、現在だとECの普及による影響が大きく、物流業界には以下のような傾向があります。
- 一件あたりの物量は少なく配送先は増えている
- キャンペーンなどによって出荷波動が大きくなる
- 昔よりリードタイムが短縮され、当日出荷や短納期での配送が求められる
上記の背景からは、物流にかかるコストが高くなりやすい状況にあることを読み取ることができるでしょう。慢性的な人手不足に加え、2024年からは時間外労働の制限も実施されるため、いかに効率よく、かつ物流コストを抑えて取り組めるかが重要です。
状況によっては、自社で物流業務を抱えるよりも、物流のプロへのアウトソーシングが有効な可能性もあります。アウトソーシングすることで期待できるメリットとしては、コストの負担を減らせたり、効率よく安定した品質の製品(物流)を届けられたりといったことなどです。
今後も物流業界で活動するためには、人手不足やコストの増加などの課題を、さまざまな視点から解決する柔軟な思考も求められるでしょう。
まとめ
物流は配送や輸送だけの単純なものではなく、保管や梱包、流通などさまざまな業務で成り立っています。これらの業務がつながって初めて、消費者が必要とするモノを必要な量届けられるのです。
さらに、これからの物流企業には、高品質で迅速なサービスを提供すること、そして従業員への負担を減らすことが求められます。
それらは2024年問題によってさらに大きな課題となるため、いかにコストを抑え、質を落とさずに業務の効率化を実現できるかが鍵になるでしょう。
浜松委托運送では、独自の物流管理システム(WMS)の利用により、高品質かつ生産性の高い物流サービスを提案します。また、日本の中心である浜松に拠点を置いているため、配送コストを抑えた輸送が実現できるでしょう。
これから人員不足になる可能性も踏まえ、物流業務のアウトソーシングをお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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