海外製品の輸出入にあたっては、通関手続きにかかる時間も想定したスケジュールを組む必要があります。海上貨物と航空貨物ではそれぞれ所要日数が異なりますが、いずれの場合も輸入より輸出時のほうが通関に時間がかかるのが一般的です。
本記事では、通関手続きにかかる平均日数に触れたうえで、通関が遅れてしまう理由について解説します。手続きを早く完了させるためのコツも併せて確認してみましょう。
目次
通関手続きにかかる日数はどれくらい?
輸入通関と輸出通関それぞれにかかる所要日数を比較すると、その時間は倍近く異なります。ここでは海上貨物、航空貨物の場合に分けて通関手続きの平均日数を見てみましょう。
輸入通関手続きにかかる日数
種類 | 平均日数 |
---|---|
海上貨物 | 1~3日 |
航空貨物 | 1日以下 |
海上貨物の場合、入港から輸入許可までの平均所要時間は2.5日とされています。対して航空貨物の場合は、平均0.5日です。通関申告から許可までの時間のみで比較すると、海上貨物では2.4時間、航空貨物で0.3時間となりました。
海上貨物の通関に時間がかかりやすい理由として、航空機に比べて船舶は積載量が多いことが挙げられるでしょう。基本的に土日の通関手続きはストップしますが、EMS(国際スピード郵便)や緊急貨物の手続きは土日も行われます。
輸出通関手続きにかかる日数
種類 | 平均日数 |
---|---|
海上貨物 | 3~5日 |
航空貨物 | 1~2日 |
輸出通関にかかる日数は海上貨物の場合3〜5日、航空貨物の場合は1~2日と、輸入時に比べて倍程度を想定しておきましょう。上記で触れたとおり、海上貨物のほうが所要時間が長いのは、積載量の違いによるものと考えられます。
さらに海上貨物の輸出通関においてポイントとなるのが、「カット日(CUT日)」です。これは貨物搬入の締切期日のことで、決められた期限までにCY(コンテナヤード)またはCFS(港に近い倉庫、コンテナフレイトステーション)への搬入を済ませなければなりません。
CYカットは営業日基準で本船入港の前日、CFSカットは本船入港の2日前が原則の期日となっています。
通関の手続きが遅れてしまう主な理由
通常であれば上記の日数内に通関手続きは完了するはずですが、何らかの理由でさらに時間がかかる場合もあります。通関手続きが遅れてしまう主な原因を見てみましょう。
インボイスの記載ミス
インボイスとは、商品名・数量・契約条件などが記載された明細書のことです。通関士が確認を行いますが、必須記載情報の漏れなどインボイスに記載ミスがあった場合、税関から訂正を求められます。
これはインボイスの発行元に確認するため、輸出であれば比較的早く訂正できるかもしれません。しかし輸入貨物の場合は、発送した外国の担当者に訂正を依頼することになります。担当者が休みだった、時差で確認が遅れたなどタイミングが合わないと、訂正に時間がかかってしまう恐れがあるでしょう。
アライバルノーティスの発行が遅れている
アライバルノーティスとは、輸入貨物の到着や貨物取扱費用について知らせる書類です。船会社や航空貨物会社が発行する書類ですが、これがないと輸入申告ができません。船会社によって送付のタイミングは異なるものの、貨物が港に到着する1~2日前には届いているケースが一般的です。
ただし船の遅延などが原因でアライバルノーティスの発行が遅れた場合、通関手続きにも時間がかかることになるでしょう。
繁忙期で税関での審査が長い
クリスマスや正月は1年のなかでも輸出入貨物が多く、税関も繁忙期です。また、NACCS(輸出入・港湾情報処理システム)で輸出入の手続きを行った場合、貨物は以下3つの区分で判定がなされます。
- 区分1:簡易審査扱いで、納税後すぐ輸入許可
- 区分2:書類審査扱いで、税関へ通関書類を提出後に審査
- 区分3:検査扱いで、税関員が現物検査を行う
区分1であれば通関手続きもすぐに済みますが、区分2または3の場合は書類審査・現物検査が必要になるため、なおさら時間がかかるでしょう。
通関手続きを早く完了させるためのコツ
通関手続きをスムーズに完了させるには、その前後で起こりうるトラブルをできる限り予防することがポイントになります。その一つが、インボイスの確認です。
記載ミスがあった場合に早めに対応できるよう、インボイス発行後は内容をよくチェックしておきましょう。ときには、インボイスと実際に届いた物が違うということもあるかもしれません。数量が合わない、重量が合わないなどパッキングリストのミスも起こりやすい傾向にあるため、事前に不備がないか確認しておくことをおすすめします。
また、記載ミスや何らかのトラブルが起きたときの対応策についても、取り決めておけると良いでしょう。
通関手続きにかかる時間まとめ
海上輸送では輸入通関に1~3日、航空輸送では半日程度かかります。輸出通関の場合には、その倍程度の日数を見ておかなければなりません。
ただし、インボイスの記載ミスやアライバルノーティスの遅れなど、思わぬ理由で想定していたよりも通関手続きに時間がかかってしまう可能性もあります。特に税関の繁忙期には審査が長くかかりがちなので、あらかじめ余裕を持ったスケジュールを立てておきましょう。
スムーズな通関手続きのためには、インボイスやパッキングリストが正確かきちんとチェックし、税関から修正・訂正を求められないよう対策してみてください。
この記事は執筆された時点での情報を元に記載されております。文書・写真・イラスト・リンク等の情報については、慎重に管理しておりますが、閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。記載内容や権利(写真・イラスト)に関するお問合せ等はこちら