グローバル化が年々進み、国際物流は誰にとっても身近なものとなりました。国内物流とは異なり、国際物流は「国内から外国への輸出」「外国から国内への輸入」という二つの軸によって成り立ちます。このためリードタイムやコストなど、さまざまな面で課題があることも事実です。
本記事では、国際物流についてその特徴や必要性、国内物流との違いを解説します。海外進出を目指す物流企業として、取り組むうえでの注意点についても確認してみましょう。
目次
国際物流とは
国際物流(海外物流)とは、国と国とのあいだで取り引きされる物・サービスの流れのことです。国内物流ではトラックや鉄道などが主な輸送手段となりますが、国際物流では一般的に船舶や航空機が使われます。
特に日本の場合は周囲を海に囲まれているため、外国との取り引きを行う際は船舶と航空機以外の選択肢がほぼありません。なお国際物流の99%は船舶を利用した海上輸送であり、かつコンテナ輸送が主流となっています。
国際物流の仕組み・特徴
国際物流では国内から海外への輸出、そして海外からの輸入と国をまたいで取り引きすることから、通関という工程が発生します。通関手続きが完了するまで、貨物は保税地域にて保管しなければなりません。
このことをふまえて、国際物流の機能は「保管」「荷役」「流通加工」「包装・梱包」「情報管理」「輸送」の6機能から成り立つとされています。なかでもポイントとなるのが、保管と包装・梱包です。
上記でも触れたとおり、通関の輸出入許可が下りるまで貨物は一時的に保税倉庫と呼ばれる倉庫にて保管されます。この倉庫を抱えた地域を保税地域と言い、港や空港の近くに設置されているのが一般的です。
包装・梱包とは、海外へ貨物を輸出する際に適した形で梱包を施すことです。輸出貨物は、基本的に何らかの梱包をしなければ船舶や航空機に積み込めません。貨物の損傷を防ぐためにも、航空輸送では軽量化、海上輸送では丈夫な輸出梱包が求められます。
国際物流と国内物流の違い
国際物流と国内物流の大きな違いに、通関手続きや関税の有無が挙げられます。通関が完了するまで貨物を一時的に保管しておく保税倉庫の利用も、国際物流の特徴と言えるでしょう。
また、輸送方法にも違いがあります。国内物流における主な輸送手段は鉄道やトラックなのに対し、国際物流では船舶や航空機がメインです。このことから、国内輸送に比べて国際輸送は必然的に輸送コストと時間がかかりやすいと言えるでしょう。
さらに取り扱う物・サービスの流れ方についても両者には違いがあります。国内物流の場合は「国内で生産し配送、消費者に届く」という流れになりますが、国際物流ではそのまま消費者へ配送する以外に「輸出入貨物が部品など原材料であれば製造・加工」という工程を踏む可能性もあるためです。
今日における国際物流の重要性
国際物流は現在、企業にとっても一般消費者の生活においても必要不可欠なものとなっています。ここからは、今日における国際物流の重要性について解説します。
企業のグローバル化
近年の新型コロナウイルスが与えた影響を含め、円高や日本国内の労働・環境などの規制を契機として企業のグローバル化が進んでいます。この背景には、物資の調達・生産・販売を国内だけで完結させるリスクを減らそうと考える企業の増加があるでしょう。
また、これまでのグローバル生産といえば大量生産大量輸出だったのに対し、現在では現地生産、最適地における工程分業へと変化しました。これにより調達・生産・販売がそれぞれ別の国にて行われる傾向が強まっています。
コスト削減による物流の最適化
かつて高度成長期下にあった日本では、国内で集中的に製造して輸出することが最も合理的であると考えられていました。しかし、円高や関税の引き上げなどの影響により現在では、販売国の近辺に生産拠点を置いて製造・販売を行うほうが最適化に繋がるとされています。
国際物流の最適化とは、業務にかかる人件費やコストなどを見直し、より合理的な方法を模索することです。特に国際物流では国際物流費(送料)が多くかかるため、この部分の見直しが利益率の改善に直結するとも言い換えられるでしょう。
国際物流に取り組むうえで認識したい懸念点
国際物流を円滑に進めるためには、向き合わなければならないいくつかの問題点があります。取り組むうえで認識しておくべき4つの懸念事項を見てみましょう。
リードタイムが長期化する
国際物流では、国内物流に比べて貨物が届くまでの時間が長くなります。発注~到着までに1ヶ月程度かかることも多いため、取り扱う商品や取り引き先国によっては1ヶ月以上先の状況を予想して発注などを行わなければなりません。
実際に、新型コロナウイルスの世界的な蔓延により、日本をはじめとして各国の輸出入にも多大な影響が出ていました。大きな原因としては海上輸送における「コンテナ不足」が挙げられます。
そこで、トラブルを想定して多めに品物を発注してしまうと過剰在庫となり、在庫負担が大きくなる可能性があるでしょう。また、発注量が適正でも不良品が多いと在庫不足になってしまうため、最適な在庫を維持するための発注がポイントになります。
これらの懸念点を解決するため課題となるのが、リードタイムをいかに短くできるかです。浜松委托運送は日本の中心である浜松に倉庫を構えているため、全国に対して配送時のリードタイムの短期化を狙うことができます。
物流過程が見えにくい
国際物流での課題の一つに、物流過程が見えにくいことがあります。国際物流では海外の企業と輸出・輸入の業務を行うため諸手続きが増え、やり取りの細部まで把握することはなかなか困難です。また、現地の企業とやり取りする際には資料の言語や通貨単位、計算方法も異なるため、どの工程にどのくらいコストがかかったのかもわかりにくいのが現状でしょう。
以上のことから、物流過程のブラックボックス化せず全体の過程を可視化し、分析することが、コスト削減につながると考えられます。
輸送中のトラブルがある
国際物流における輸送中のトラブルも課題の一つです。輸送期間が長期にわたることから、破損や天候・機材トラブルなど予想外の出来事が発生する可能性もあります。
この結果、輸出の場合は配送遅延、輸入の場合には生産・販売へ影響を与えることも考えられるでしょう。国内物流と比較して、国際物流においては不測の事態で輸送途中で貨物が紛失するリスクが高くなることも認識しなければなりません。
事業にあった倉庫選びが必要
物流事業では事業に合った倉庫選びも重要なポイントです。国際物流を行うにあたって、どのエリアの倉庫を活用するかが効率よく業務を進める鍵を握っています。例えばメインとなる配送エリアと離れた倉庫を選んだ場合、運送コストが高くなってしまうでしょう。
また、出荷時に必要な流通加工が倉庫内でできるかどうかもあらかじめ確認しておくことをおすすめします。保税倉庫を利用すれば、関税や消費税を保留したまま加工業務にも対応できるため、国際物流を行ううえで経費削減に貢献するでしょう。
まとめ
国際物流の需要は、今後も増加の一途を辿ることが予想されます。リードタイムの長期化や物流過程が見えにくいがゆえにコスト削減がしにくいという懸念点がありますが、これらを解決に導く足がかりとなるのが保税倉庫の存在です。保税倉庫のメリットには、次のようなものが挙げられます。
・関税や消費税などの経費が抑えられる
・スムーズな通関手続きができる
・輸送コストと流通時間の短縮が可能
浜松委托運送は、日本の中心である静岡県浜松市に保税倉庫を構えており、全国に対して短期間での出荷・配送が可能です。グローバル進出に向け国際物流の最適化を目指す際には、経験と実績が豊富な浜松委托運送にぜひご依頼ください。
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