倉庫業とは?区分や主な仕事、委託するにあたってのポイントを解説

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ネットショップの普及に伴い、企業にとっても消費者にとっても倉庫業の重要性が増しています。倉庫業は生産と消費を繋ぐ産業であり、多種多様な貨物を大量かつ安全に保管する、現代の人々の生活に欠かせない産業と言えるでしょう。ただ貨物を保管する以外にもさまざまな役割を担っており、倉庫の種類によって扱える貨物も異なります。

本記事では、倉庫業の役割と定義を確認してみましょう。これから倉庫業に参入をお考えの方に向けて、倉庫業法のポイントも併せて解説します。

倉庫業とは?

倉庫業は「寄託を受けた貨物を倉庫に置いて保管する事業」と定義されています。寄託とは、当事者の一方が相手方のために物品を保管することです。倉庫業は、荷主の大切な物品を預かる受託事業にあたります。

こうした特性から、倉庫業を始めるにあたっては、倉庫業法に基づき国土交通大臣の行う登録を受ける必要があります。倉庫業法とは、​​倉庫業を定義するとともに、倉庫業の適正な運営を確保し、倉庫の利用者(荷主)の利益を保護するための法律です。

倉庫業の種類

倉庫業は大きく普通倉庫、水面倉庫、冷蔵倉庫の3つに分類され、物品の種類によって保管できる倉庫が決まっています

これら3つの倉庫について説明していきます。

普通倉庫

普通倉庫は3つのなかで最も一般的な形態です。法律上では以下の6つの総称として使われています。

  • 一類倉庫
  • 二類倉庫
  • 三類倉庫
  • 貯蔵槽倉庫
  • 野積(のづみ)倉庫
  • 危険品倉庫

それぞれの特徴と内訳は以下のとおりです。

種類 特徴や保管対象貨物
一類倉庫 ・最も施設や設備基準が厳しい。幅広い物品を保管可能な倉庫
・ほかの普通倉庫では保管できない貨物が該当
二類倉庫 ・一類倉庫より防火、耐火性能が求められない倉庫
・対象となる物品は麦、でんぷん、肥料、皮革、鉄製品、セメントなどが該当
三類倉庫 ・防火、耐火性に加え、防湿性能も求められない倉庫
・対象となる物品は気温や湿度への変化に耐えられる陶磁器、タイル、ガラス器などが該当
貯蔵槽倉庫 ・袋や容器に入っていないバラ状の貨物や液状貨物を保管する倉庫
・小麦、大麦、トウモロコシ、糖蜜などが該当
野積倉庫 ・柵や塀で囲われた区画内で製品を積んで保管する倉庫
・木材や鉱物、車両、パレットなどが該当
危険品倉庫 ・消防法第二条で規定される危険物や高圧ガス保安法第二条に規定される高圧ガスなどを保管する倉庫

上記の表のように倉庫で取り扱う貨物には、農業や製造業に関わる貨物(農産物、食品、紙・パルプ、機械など)、鉱業(金属など)に関わる貨物のほか、消費者の財産(美術品や骨董品)などさまざまな貨物があります。

蜂巣 稔
蜂巣 稔

一般倉庫には、家財、美術骨董品、書籍など個人の財産を保管するトランクルームも含まれます。

水面倉庫

水面倉庫とは、河口付近等に物品を並べる、または貨物を水面に浮かべて保管する倉庫のことです。

水面倉庫では主に原木を管理していることから、水面貯木庫とも呼ばれます。原木は陸上で保管すると乾燥して割れてしまうため、水面に浮かべて保管します。

水面倉庫の基準として、以下の3つの条件を満たす必要があります。

  • 工作物で守られていること
  • 水害による原木の流出を防ぐ措置が整っていること
  • 照明装置があること

冷蔵倉庫

冷蔵倉庫とは、10度以下の低温で冷蔵・冷凍が必要な貨物を扱う倉庫のことです。保管できる貨物には、水産物や畜産物、農産品、冷凍食品などがあります。10度以下での貯蔵が必要な食品全般が主に該当すると言えるでしょう。

ただし、保管温度については扱う品物によって大きな違いがあります。10度以下~-20度未満はC級(クーラー級)、−20度以下はF級(フリーザー級)など温度帯によって階級が分かれており、貨物ごとに適した温度で保管されるのが特徴です。

例えば、野菜や乳製品といった生鮮食品は冷蔵の温度帯での保管が適していますが、冷凍食品はさらに低いマイナスの温度を保たなければなりません。

蜂巣 稔
蜂巣 稔

倉庫の利用を検討する際には温度帯の管理だけでなく、貨物が生じるニオイの管理も必要なケースがあります。保管されている貨物のニオイが、他の貨物に移ってしまう着香や吸着が起きないように保管場所や保管方法、容器や倉庫内の換気などにも配慮が必要なケースがあります。

浜松委托運送では、低温倉庫や冷凍倉庫のほか、常温倉庫、除湿倉庫などを保有しており、さまざまな製品の管理が可能です。

倉庫の主な仕事

倉庫の主な仕事は、商品の入庫から出庫までに発生する一連の業務です。

検品・入庫

検品(検査)とは、入庫する商品の状態等を確認する作業のことです。この工程では、商品の破損有無や数量の過不足、入庫すべき正しい商品であるかといった確認を行います。

入庫とは、検品を終えた商品を倉庫内の適切な場所に移動し、保管することです。

検品業務の範囲については、顧客によって求められる領域がさまざまです。浜松委托運送では、お客様のご要望に応じたきめ細やかな対応が可能です。

保管

保管とは、入庫した商品に応じた適切な環境で管理を行うことであり、倉庫業におけるメイン業務です。商品によって要求される温度帯も異なります。

例えば冷蔵・冷凍食品であれば、冷蔵倉庫で保管を行います。また、危険物を扱う際は、保管場所や数量などを考慮しなければなりません。

保管の際に万が一倉庫内で商品を破損させてしまった場合、顧客からの信頼を失うことになるため、取り扱いには細心の注意を払いましょう。

流通加工

流通加工とは、流通の過程で商品価値を高めるために施す加工作業全般のことです。商品にタグを付けたりラベルの貼付、包装を行うなど商品の価値を高めたり、法令上必要な対応を行ったりと、何らかの加工を行うことを意味します。

流通加工を施すことにより商品の利便性を高めて、商品を手にした顧客の購買意欲や満足度を上げることが目的です。スーパーマーケットなどの流通業では、店舗で加工する負担やコストを削減するために、倉庫で流通加工が行われます。

ピッキング

ピッキングとは、伝票や指示書の情報に従って倉庫内の在庫から出荷に必要な商品を選び取る作業のことです。ピッキング用の資材や機材を使い倉庫内の保管場所からピックアップするのが一般的ですが、大型の商品など、種類によってはフォークリフトを利用することもあります。

短時間で正確に商品をピッキングするためには、倉庫内の保管場所をわかりやすく管理しておくことが大切です。在庫配置の工夫はもちろんのこと、ピッキングを行う従業員の効率的な動線の確保も必要になるでしょう。

仕分け・出荷

仕分けとは、ピッキングした商品を配送先や配送方面別に分ける作業のことです。仕分けの過程では、ピッキングされた商品に間違いがないかも確認します。

出荷とは、仕分けを終えた商品をトラック等の車両に積み込み、納品先に向けて発送する業務のことです。出荷時には送り状や出荷明細を発行します。誤出荷は顧客からの信頼を失うだけでなく売上にも影響するため、ミスを防ぐ管理体制の構築が重要です。

蜂巣 稔
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上記の通り、倉庫の仕事を記載しましたが、荷主のニーズに応えられる業務の提供ができる倉庫であるかがポイントになります。例えばECであれば、受注当日の出荷が必要となるでしょう。こうしたニーズに応えられる仕組みや設備、リソースの有無が極めて大切なポイントになります。

浜松委托運送では、独自のWMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)を使用しています。検品・入庫~仕分け出荷までの業務がデジタル化されているため、高品質かつ生産性を高めた効率的な対応が可能です。

知っておきたい倉庫業法のポイント

倉庫業を行うには、営業所の所在地を管轄する地方運輸局を経由して国土交通省に登録申請が必要になります。倉庫業登録を国土交通省に申請した場合、処理期間として3ヶ月ほどかかるでしょう。

倉庫業法には、倉庫業を営むうえでの条件が明示されています。

第一条 この法律は、倉庫業の適正な運営を確保し、倉庫の利用者の利益を保護するとともに、倉荷証券の円滑な流通を確保することを目的とする。

引用:倉庫業法 第一条

 

倉庫は、自分の貨物を保管する「自家用倉庫」と、他人の貨物を保管するための「営業倉庫」の大きく2つに分類できます。営業倉庫は荷主の大切な持ち物を預かるため、法律に基づき登録申請が必須です。

営業倉庫を無許可の状態で営業したり広告を出したりする場合は違反行為とみなされます。倉庫における貨物の保管責任は倉庫業者側にあるため、貨物の盗難など何らかのトラブルが起こった際は倉庫業者側が一切の責任を負わなければなりません。このことから防犯措置などの危機管理も非常に重要になります。

 

事業会社が倉庫業者に委託する場合に考えたいこと

倉庫業を委託すると、入庫から出荷までの工程を代行してもらうことができ、在庫管理などにとられていた時間を削減できます。倉庫業者を比較検討する際には、以下のようなポイントに注目してみましょう。

考えたい項目 具体的に確認したい内容
物流倉庫の立地 納品先までの運送コストがどのくらいかかるか
保管方法と設備 商品に応じた適切な管理や保管ができるか
サービス内容 お客様のニーズに応えられるサービスが提供できるか
類似商品の取り扱い 商品に関する知見やノウハウがあるか

なかでも重要なポイントとなるのが、物流倉庫の立地です。納品先への運送費は倉庫の立地に影響を受けます。とりわけ高速道路、ICやJRの貨物駅、港や空港などからのアクセスの良さは大切なポイントです。

その点、浜松委托運送は本州の中心にあたる静岡県浜松市に倉庫を保有しており、西日本・東日本のどちらへも円滑な物流サービスを提供できることが大きな強みです。

また、都市部より土地の費用が高くないため、そのぶん多くの人員で対応できます。十分な人手を確保したうえで、要望に応じた細かなサービスをご提供可能です。

お客様からは、倉庫の保管スペースなどキャパシティ不足に関して多くのご相談をいただきます。浜松委托運送では、十分な保管スペースによる適切な在庫管理でお客様の悩みを改善します。

倉庫業まとめ

倉庫業の概要と役割、倉庫業法のポイントについて紹介しました。倉庫業は主に普通倉庫、水面倉庫、冷蔵倉庫に分けられます。それぞれ保管できる貨物に違いがあります。倉庫を利用する際は、自社の貨物を適切に管理できる倉庫かどうかチェックしてみてください。

また、営業倉庫を新しく開設する場合、倉庫業法は必ず遵守すべきルールです。安全かつ高品質な倉庫運営のために、倉庫業法の要点をしっかりと理解したうえで登録の申請へと進みましょう。

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