2024年4月以降、働き方改革関連法案により、トラックドライバーの時間外労働には、年間960時間の上限が設けられます。トラックドライバーの長時間労働を是正するための法改正ですが、時間外労働が制限されることで、給料が増減するドライバーもいることが見込まれます。
この記事では、2024年4月以降の、トラックドライバーの給料について解説します。事業者側の対策についても触れているので、ぜひ参考にして下さい。
■この記事でわかること
- 2024年以降のトラックドライバーの給料の変化
- トラックドライバーの今後の行動
- 給料が下がることによる事業者の対策
目次
2024年問題によって給料はどうなる?
2024年4月以降、トラックドライバーの時間外労働に上限が課せられることで、ドライバーの給料にも変化が出るでしょう。
ここでは、2024年4月以降、給料が下がるドライバーと、増えるドライバーについて、それぞれ解説します。
給与が下がる可能性
まずは、給料が下がる可能性について見ていきましょう。
時間外労働の減少による給料減
2024年4月以降、時間外労働の上限は年間960時間となります。これまで時間外労働を年間960時間以上していたドライバーは、残業時間が減るため、給料が減る可能性が高いでしょう。給料が減ることで離職するドライバーが出ることも考えられます。
全日本トラック協会が行った調査によると、「時間外労働が年間960時間を超えるドライバーがいる」と答えた事業所は、2022年3月の時点で27%にのぼりました。
とはいえ、残業が減ることで、プライベートの時間や睡眠時間を確保しやすくなり、ワーク・ライフバランスの向上は図りやすくなります。物流業界の2024年問題については、こちらのページでも詳しく取り上げています。
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トラックドライバーの労働時間に上限が設けられれば、運べる荷物の量が減り、運送会社の売上が落ちる可能性があります。会社の売上が落ちれば、ドライバーの給料も下げざるを得ないでしょう。
ドライバー1人あたりの労働時間が限られるなかで利益を出すためには、ドライバーの数を増やしたり、業務を効率化したりする必要があります。しかし運送業界は、2024年問題が話題になる以前から慢性的な人手不足が課題になっており、ドライバーを増やすのは簡単ではありません。
給与が増える可能性
2024年4月以降、給料が増えるドライバーもいると予想する向きもあります。
もともと物流業界では慢性的なドライバー不足に陥っており、2024年問題の解決のために事業者がドライバーの給料を上げる可能性もあります。しかし、ドライバーの勤務時間が減る影響で利益自体が下がると考えられるため、給与の増加は難しいでしょう。
給与が増える可能性の一つの根拠として、月60時間以上残業の割増料金を50%にすると国が明言している、というものがあります。しかし、法律の目的は残業を抑制することにあります。総合的に考えて、給与が増える可能性は低いでしょう。
参照:トラック運送業界の2024年問題について|公益社団法人 全日本トラック協会
2024年問題による給与減に対する事業者の対策案
ここでは、2024年4月以降の、時間外労働の上限規制に向けて、事業者が取るべき対策を紹介していきます。
荷主との運賃交渉
運送事業者は荷主との交渉を行い、運賃を値上げすることで、会社の利益を上げ、ドライバーの給料を上げていく必要があります。
運賃の交渉においては、かつては荷主の立場が強く、運送事業者は不利な条件を飲まざるを得ないケースが多くありました。しかし、2020年4月に国が標準的な運賃を定めたことで、適正価格での交渉がしやすくなっています。
また運賃とは別に、これまで無料で行うケースが多かった荷役作業や付帯業務についても、適切な料金を請求しましょう。
業務の効率化
業務効率化により、給料を増やせる仕組みづくりをすることも重要です。特に代表的なものがITの活用でしょう。
例えば、配車計画や輸送計画は、これまで一部の社員が時間を掛けて行い、長時間労働の一因となっていましたが、ITツールを用いて自動化することによって、作業の属人化が解消され、工数を大きく削減することが可能です。
また、勤怠管理システムを導入すれば、労働時間を正確に管理できるだけでなく、給与計算などの手間も減らすことが可能です。
雇用条件の改善と仕事の獲得
雇用条件を改善してドライバーを確保し、多くの仕事を受けることも対策のひとつです。
運送業界の人手不足が叫ばれる一方、物流業界で取り扱う荷物の量は年々増え続けています。そのため、ドライバー(人材)とトラックを確保することで、仕事自体は獲得しやすい状況です。
事業所の経営状況によっては、ドライバーの給料を上げたり、労働環境を改善したりすることが難しいケースもあるかもしれません。しかし、待遇を良くすることによってドライバーの確保につながり、多くの仕事を受けることができ、結果的には状況が改善する可能性があります。
特に、若い世代が魅力的に感じるような将来性のある雇用条件が求められます。
まとめ
2024年4月以降、トラックドライバーの時間外労働が制限されることで起きる給料の変化や、その対策について解説しました。給料が下がることが予想されますが、荷主との運賃交渉や業務の効率化、雇用条件の見直しなどを行い、対策を図りましょう。
トラックドライバーの給料や利益の減少を防ぐには、物流におけるルーティン業務を委託することによって、事業者側の負担を減らすことが大切です。委托を進めることによって、事業者はマーケティング戦略の立案などより重要な業務に取り組みやすくなるでしょう。
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