「物流」と「流通」は混同されやすい言葉ですが、意味が明確に異なる言葉です。運動業界で働くうえでは、両者の違いを正しく理解しておく必要があります。
この記事では、物流と流通の違いについて紹介しています。また、物流プロセス、流通プロセスの改善策についても、併せて見ていきましょう。
■この記事でわかること
- 物流と流通の違いがわかる
- 物流プロセスをどう改善するべきかわかる
- 流通プロセスをどう改善するべきかわかる
目次
物流と流通の違いとは
流通とは、商品やサービスが生産者から消費者に届くまでの一連のプロセスを指します。
流通という大きな枠のなかには、物、お金、情報などさまざまな流れがあり、物流はその中のひとつです。
定義と機能の違い
流通と物流では、定義や機能が異なります。流通と物流にはどのような役割があるのか、それぞれ解説していきます。
流通
商品やサービスが消費者のもとに届くまでには、物だけでなく、お金や情報など、さまざまな流れが必要です。具体的には「物流」「商流」「金流」「情報流」の4つです。流通とは、これら4つの流れを総称したものです。
商流 |
・商品の所有権の流れのこと |
物流 | ・モノの流れのこと ・生産者と消費者のあいだの時間的ギャップと地理的ギャップを埋めることが目的 |
金流 | ・生産者、販売者、消費者のお金の流れ ・掛売などの性質上、商流や物流と同じ流れにはならないこともある |
情報流 | ・情報の流れのこと ・製品情報や生産者情報、消費者情報など多種多様 |
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流通はなぜ必要か?意味・目的・役割をわかりやすく解説物流
物流とはモノの流れのことであり、「調達、生産、消費者、販売、回収」の5つの機能があります。
そのなかでもさらに「配送・輸送、保管、荷役、梱包・包装、流通加工、情報システム」の6つの領域に分かれています。
配送・輸送 | 車や船、航空機によって生産者から消費者に届ける 配送および輸送手段は納期やコストをもとに決定される |
保管 | 生産者と消費者の時間的隔たりを埋めるための保管(在庫管理) 倉庫に保管し、消費者がほしいタイミングで届けられるようにする |
荷役 | 荷物を車や船、航空機へ積み込む工程 指示のとおりにピッキング、仕分け作業 |
梱包・包装 | 輸送中の商品の破損などを防ぎ品質保護、維持するため 包装には個装、内装、外装の3種類がある |
流通加工 | 商品のギフト用ラッピング、商品の小分け作業、値札の貼り替えなど 海外製品の日本語マニュアル化を行うこともある |
情報システム | 倉庫管理システム「WMS(Warehouse Management System)」を用いてモノの流れを管理 上記5つの機能の効率化にも寄与している |
物流と聞くと、車や船を使ってモノを運ぶ、配送や輸送をイメージするかもしれません。しかし、商品の梱包や保管、情報を使ったモノの流れの管理なども物流に含まれます。
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物流とは?定義や目的をわかりやすく図解で解説また、物流はしばしばロジスティクスと混同されることもあります。ロジスティクスは、物流を計画・管理して最適化する戦略的アプローチを意味するため、物流よりも上位概念として捉えておきましょう。
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物流とロジスティクスの違いとは?それぞれの特徴を解説役割の違い
物流と流通の役割の違いは、大きく以下の2つがポイントになります。
- 物流はモノは動くが所有権が移らないこと
- 流通は物流の上位概念であること
流通は、所有権なども含めて物を移動させることです。上述の機能でも取り上げているとおり、権利や情報などの商流とモノの移動である物流に細分化されます。
一方、物流は人・時間・空間のギャップを効率的に埋めてモノを移動させることであり、権利や情報の移動は含みません。人・時間・空間のギャップとは以下のような内容を指します。
人におけるギャップ | 生産者から消費者へモノが渡るまでに発生する情報・権利(所有権)の差異 |
時間におけるギャップ | モノを生産する時期と消費する時期の違い |
空間におけるギャップ | 生産場所と消費場所による隔たり |
所有権の違い
物流と流通の大きな違いの一つに、所有権の移動の有無があります。
物流の場合は、所有権が変わることはありません。例えば東京から大阪に物を運んでも、実際に移動させた物流業者やトラックドライバーに、物の所有権が移ることはありません。
一方で流通の場合は所有権の移り変わりがあります。例えばメーカーがサプライヤーから物を仕入れると、仕入れた物の所有権はメーカーに移ります。
つまり、生産者から消費者の間でモノの所有権が渡る場合は、流通であるといえます。
物流と流通の違いから見る最適な業務フロー構築
ここでは、物流と流通の違いを踏まえた、業務フローの改善例を紹介します。
流通プロセスの改善例
流通プロセスの改善策としては、サプライチェーン全体を最適化して、商品の供給を効率化させる方法があります。
サプライチェーンは、サプライヤーやメーカー、物流業者、エンドユーザーといったさまざまな業者によって成り立っています。 それぞれの業者が連携し、物、お金、情報の流れを最適化させることで、在庫を過剰に抱えずに済んだり、生産プロセスの改善ができたりといったメリットがあります。
物流プロセスの改善例
物流プロセスを改善する際のポイントとしては、場所や建物などのハード面、プロセスなどのシステム面、人材面、輸送面などがあります。
ハード面は改善結果が分かりやすい反面、時間や費用がかかるため、ハードルが高くなりがちです。
システム面の改善は、取り組みやすいものの成果が見えにくいケースや、業界全体での連携が必要な大掛かりなものなどがあり、成果が出る前に時間がかかる傾向があります。 人材面では、物流業務に携わる人材の育成や、活用方法の見直しがあげられます。 個人の能力のバラつきを改善したり、支持を統一させるための資料を作成したりといった、人材全体の改善を行いましょう。
輸送面では、混載輸送や帰り便の活用、梱包の効率化など、さまざまな観点から物流プロセスの改善が見込めます。
それぞれの改善策を押さえたうえで、投入できる予算と期間に応じた改善策に取り組むことが重要です。
まとめ
物流は、商流、金流、情報流とならび、流通を構成する要素のひとつです。
また、運ぶものの所有権が移るかどうかも、物流と流通の違いを考えるうえで重要なポイントです。
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