運送業では、運転する車種や年齢によって年収が異なります。これまで「運送業は給料が低い」というイメージが定着していたものの、働き方改革を機に状況を改善しようと動く企業も出てきました。では、実際に運送業で働く方はどれくらいの給料を受け取っているのでしょうか。
本記事では、運送業の車種と年齢別の平均年収を紹介します。運送業界で働きながら年収を上げる方法も解説しているので、ドライバーとして働きたい方は参考にしてみてください。
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目次
運送業の平均年収は?
運送業の給料は基本的に、ドライバーが運転しただけ賃金に反映される仕組みです。そのため、働けば働くほど年収を増やすこともできるでしょう。しかし、日本の給料水準からすると、働いた時間に対して運送業の給料はそこまで高くないのが現状です。
ドライバーの拘束時間は1日あたり13時間前後であり、ほかの産業に比べるとかなり長い傾向にあります。働いた時間あたりの給料が高くなくても、働く時間が長いことでほかの産業より年収が高くなるケースもあるでしょう。
ここからは運送業の年収を年齢・性別ごと、運転車種ごとに解説します。
年齢・性別ごとの平均年収
ドライバーとして働く方の年齢は幅広く、18歳~65歳以上まで活躍できます。また、男性女性ともに従事できる職種です。以下では、年齢と性別ごとに運送業の平均年収を紹介します。
【男性】年齢別階級別の平均年収
年齢別 | 平均年収 |
20歳未満 | 358万円 |
20~29歳 | 406万円 |
30~39歳 | 477万円 |
40~49歳 | 510万円 |
50~59歳 | 518万円 |
60~64歳 | 405万円 |
65歳以上 | 330万円 |
参照:「2021年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」より計算
※賞与額も含む
全日本トラック協会の調査によると、男性ドライバー全体の賞与を含めた平均年収は467万円でした。20歳未満の平均年収は358万円と、全体の平均年収よりも100万円以上少ないことがわかります。
また、50代までは年齢を重ねるごとに平均年収が上がり、50〜59歳の平均年収は518万円となりました。一方で、60歳を超えると年収の上昇は落ち着く傾向にあります。
【女性】年齢別階級別の平均年収
年齢別 | 平均年収 |
20歳未満 | 365万円 |
20~29歳 | 330万円 |
30~39歳 | 377万円 |
40~49歳 | 378万円 |
50~59歳 | 363万円 |
60~64歳 | 357万円 |
65歳以上 | – |
参照:「2021年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」より計算
※賞与額も含む
女性ドライバーの平均年収は383万円で、男性ドライバーに比べると低めです。一方、20歳未満の女性ドライバーの平均年収は365万円であり、同年代の男性の平均358万円と比べて高くなっています。
しかし、女性ドライバーの平均年収が一番高い40〜49歳になっても、378万円までしか上がっていません。給料の上がり幅が少ないことから、全体的な女性ドライバーの平均年収は、男性ドライバーに比べると低くなっています。
運転車種ごとの平均年収
トラック種別 | 平均年収(男性) | 平均年収(女性) |
けん引 | 464万 | 425万 |
大型トラック | 443万 | 404万 |
中型 | 368万 | 334万 |
準中型 | 406万 | 314万 |
普通 | 378万 | 305万 |
参照:「2021年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」より計算
※賞与額も含む
性別や年齢だけでなく、運転する車種によってもドライバーの給料は変わります。車のサイズが大きいほど運転は難しくなるため、比例して年収も高くなるのが一般的です。普通トラックドライバーの平均年収が378万円なのに対し、けん引トラックは425万円でした。
このように大型トラックやトレーラーを運転できるだけでも、年収はかなりアップします。給料の高い車種のドライバーになったうえで長距離の仕事と組み合わせれば、平均を上回る年収1,000万円以上も目指せるでしょう。
運送業のなかでも普通(小型)車種は平均年収が低めであるものの、普通免許があればすぐにドライバーになれるというメリットもあります。平均年収が高い車種ほど運転も難しくなるため、それぞれのメリットとデメリットを踏まえたうえで扱う車種を選ぶと良いでしょう。
運送業の年収があまり高くない理由
運送業の年収がほかの職種に比べて低い理由の一つが、「ガソリン価格の高騰」です。ガソリン価格が高騰すると、運送にかかる費用がかさむことになり、会社の資金に余裕がなくなってしまいます。
年収があまり高くないことが原因で若年層のトラックドライバーは年々減少しており、高年齢のベテランが働き続けざるを得ない状況です。また、1990年代に始まった貨物輸送の規制緩和により参入業者が増えたため、賃金を下げざるを得ない状況になってしまったのも原因の一つです。
今後も2024問題の影響で、さらに給料が安くなる可能性もあるとされています。運送業の年収はこれからも重要な課題であるといえるでしょう。
物流の2024年問題については、こちらのページでも詳しく取り上げています。
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運送業で年収を上げるには?
ガソリン代高騰や2024年問題によってドライバーの給料が減る可能性があるなか、少しでも給料を増やすにはどのような対策が必要になるのでしょうか。上記で運送業の平均年収を紹介しましたが、工夫次第では平均年収以上に稼ぐことも可能です。
ここからは、運送業で年収を上げるために取り組みたいことを紹介します。
大型の免許の取得や長距離の仕事を行う
大型の免許を取得したり、長距離の仕事を選んだりすることで年収を上げられる可能性があります。勤務先にもよりますが、基本的に長距離ドライバーは短距離中距離のドライバーに比べて高収入です。給料が高めに設定されている会社や単価が高い業務であれば、年収1,000万円達成も目指せるでしょう。
しかし、長距離ドライバーは年収が高い代わりに休憩時間が少なく、長距離運転による疲労の蓄積が懸念点といえます。長距離運転による体の負担についていけず、休日を多くとることになれば、結果的に年収が下がってしまうかもしれません。
あるいは、大型トラックや牽引の免許を取得して年収アップも狙うという方法もあります。
深夜から早朝にかけて稼働する
働く時間を深夜から早朝中心にして、年収を上げることも可能です。22時〜朝5時のあいだに働くと、深夜労働に関する割増賃金25%以上を受け取れるため、日中で同じ時間働くよりも高収入を狙えるでしょう。
ただし、業務委託で働く場合は、深夜労働の割増賃金を受け取れません。また、あらかじめ手当が出ている場合も、プラスで賃金が支払われることがないため注意が必要です。
深夜から早朝にかけての稼働は、体への負担が大きくなりやすい点も覚えておきましょう。
社内で昇進を目指す
社内での昇進による給料アップを目指す方法もあります。例えば主任ドライバーや運航管理者、営業所長、支店長になった場合、通常のドライバーよりも年収は高くなるでしょう。
昇進を目指すのであれば、運転技術だけでなく従業員の管理や指導、コミュニケーション能力も高めなければなりません。また、昇進後は業務に対する責任も大きくなるため、負担が増える可能性もあることを心に留めておく必要があります。
給与待遇が良い運送会社に転職する
給料待遇が良い運送会社に就職、または転職することも検討しましょう。例えば、上場企業のドライバーは平均年収が高いケースが一般的です。上場していない企業でも、従業員が100名規模の会社であれば、給与や業務時間が安定している傾向にあります。
また、賞与によっても年収は左右されることから、業績の良い会社を探すことも重要です。同じ業務内容や時間であっても会社によって給料は異なるため、できるだけ給与待遇が良い会社を見つけましょう。
浜松委托運送では働きやすい環境を整備しており、待遇面も含めて今後も継続して調整していく予定です。平均有休取得率は80%以上、平均年間休日110日以上、教育制度や免許取得支援制度も整っています。
まとめ
運送業の年収は、年齢や車種によって左右されるため、年収を上げたいのであれば大型ドライバーを目指してみるのも一つの方法です。さらに、長距離の運転や深夜に稼働することでも給料アップが見込めるでしょう。
また、企業の規模によっても給料や待遇には差があります。2024年問題の影響で今後ドライバーの給料は下がることも懸念されているため、なおのこと待遇の良い会社を選ぶように意識してみてください。
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