破損は物流において発生頻度の高い代表的な事故です。破損を防ぐためには、オペレーションの見直しや梱包の工夫、社員教育といった対策方法があげられます。
また破損の対策は、配送業者だけでなく荷主も行う必要があります。しかし、具体的にはどのように対策したらよいのか分からない方も多いかもしれません。
この記事では破損事故の原因と対策方法、商品破損時の補償について解説します。商品の破損対策に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
■この記事でわかること
- 破損事故の原因
- 破損事故の対策方法
- 商品破損時の対応
目次
物流の現場で起きる商品の破損事故の原因
物流現場における商品の破損事故としては、主に以下のような原因が考えられます。
- 破損・曲損・凹損・変形…77%
- 濡損…8%
- 抜荷・不着・欠損…4%
- 汚損・汚染…3%
- 凍結・解凍…3%
- 変色・変質・劣化・腐敗…2%
- その他…3%
このうち最も割合が高い原因は、破損・曲損・凹損・変形となります。これは、物流の工程において商品が衝撃や圧力にさらされ、物理的なダメージを受けることが原因です。
また、商品が破損する原因として、「EC通販事業者」と「配送業者」がそれぞれ起因となるケースも考えられます。ここでは、それぞれの業者別に商品が破損する原因を解説します。
EC通販事業者に起因する破損の原因
EC通販事業者が商品の破損に起因する主な理由として、梱包の不適切さがあげられます。たとえば、重量のある商品を厚みのない箱で梱包すると、箱や商品が圧迫され、破損のリスクが増加します。
また、割れやすい商品を梱包する際に、緩衝材を十分に使用しないことも損傷の原因です。段ボールのような外装も商品のサイズに合わない大きなサイズを使用すると、商品が箱の中で移動して、破損しやすくなります。
配送業者に起因する破損の原因
配送業者による不適切な積み込みや積み下ろし作業は、商品が破損する原因として考えられます。たとえば、商品の入った段ボールの落下や積載時に過剰に圧力がかかるといったミスがあげられます。
また、運転中の急ブレーキや急発進、輸送ルートの道路状況によっては、商品に必要以上の振動や衝撃を与えるため、商品が破損するリスクが高まるでしょう。
商品の破損対策
複数の破損対策を同時に実施すると、破損のリスクをより減らすことができます。ここでは、5つの対策方法を紹介します。
物流現場やオペレーションの見直し
物流現場やオペレーションの見直しは、商品の破損対策において不可欠です。特に人為的ミスを防ぐためには、以下のような作業環境の見直しによって改善が見込めます。
- 倉庫内の整理整頓と清掃
整理整頓された倉庫環境は、作業スペースを確保しやすく、不要な接触や商品落下のリスクを減らします。
- 5S活動など教育による意識の徹底
従業員の安全意識を向上させ、正しい作業手順や危険を認識することで事故を予防します。
- 倉庫内の棚や機械の固定
作業中に棚や機械が動くリスクを軽減します。固定された設備は、作業ミスを減らすだけでなく安全性の向上にも役立ちます。
- 荷崩れ防止や落下防止アイテムの導入
運搬中の荷崩れや落下を防ぐためには、固定用のバンドやベルトを導入する方法があげられます。これにより、商品の安定性が向上し、破損のリスクを減らします。
- 作業時の声かけの防止
作業中のコミュニケーションに注意を払い、作業員間の声かけを最小限に抑えることで、集中力が維持され、ミスが減少につながります。
梱包の変更
梱包のやり方を工夫することで、商品を衝撃から保護して破損を防ぎます。また、資材を耐久性のある素材に変更することも方法です。ここでは正しい梱包方法と商品に合った梱包資材の選び方を解説します。
梱包のやり方
商品を安全に運ぶためには、正しいやり方で梱包と包装を行うことが大切です。下記の手順は、段ボールを使用した場合の正しい梱包方法です。
- 段ボールを広げ、上側のフラップが外側になるように展開してください。
- 底部のフラップの境目にガムテープを貼ります。ガムテープは、一の字貼りまたは十字貼りで貼りましょう。
- 緩衝材を詰める際は、なるべく隙間を埋めるように敷き詰めると、商品の動きや振動を抑えて損傷を防ぎます。
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梱包に使用される資材を見直すことで、商品の破損のリスクを軽減できます。梱包の資材は大きく分けて「外装」「緩衝材」「粘着テープ」の3つに分けられます。
- 外装
梱包の外装には、主に段ボール材料が使用されます。段ボールの強度は厚みによって変わるため、必要に応じて段ボールの強度を選ぶことが重要です。また、なるべく商品のサイズに近い大きさの段ボールを選ぶと、すき間ができにくく、箱の中で商品が移動しにくくなります。
- 緩衝材
緩衝材には紙やエアクッション(エアキャップ)、発泡スチロールなどいくつか種類があります。素材によって重量やクッション性が異なるため、梱包する商品に合わせて選んでください。
- 粘着テープ
粘着テープは梱包を補強するために使用されます。重い商品には布テープやビニールテープといった強度のあるテープが最適です。一方、軽い商品には紙製のクラフトテープも使用できます。
衝撃レコーダーやシールの導入
輸送中の商品の衝撃は、衝撃レコーダーやショックウォッチを導入することで検知できます。
ショックウォッチは、商品や荷物に貼り付けて衝撃を検知するシールです。輸送中に衝撃があった場合は、シールが変色して衝撃を知らせます。この変色を確認することで、受取人や管理者は荷物にどの程度の衝撃を受けたのかを簡単に判断できます。
さらに、貼り付けたシールが変色した場合、それは危険な取扱いがあったことを示す証拠となります。シールの変色を起こさないようにドライバーや倉庫スタッフに対する事故防止の啓発が行われれば、安全な取り扱いも促進されるでしょう。
社員教育
社員教育によって従業員が適切な知識とスキルを持つことで、商品の破損事故の軽減につながります。社員教育は主に以下の方法で行われます。
- 研修プログラムの実施
梱包技術の不備やフォークリフトの操作ミスを防ぐためには、研修制度が役に立ちます。定期的にスキルアップ研修を行うことで、社員全体の作業ミスを抑え、商品の破損対策にもつながるでしょう。
- マニュアル周知
運用マニュアルの周知によって適切な取り扱いを促します。その際はマニュアルを読んだ人の認識に差がでないように定期的なマニュアルの更新も大切です。
アウトソーシングする
商品の破損対策において、物流業務を専門の企業に委託する方法も有効です。たとえば、浜松委托運送では、商品の破損を最小限に抑えるために以下の対策を行っています。
- 緩衝材の適切な使用
商品や輸送方法によって最適な緩衝材は異なります。浜松委托運送では、8割の商品に紙の緩衝材を採用し、必要に応じてエアクッション(エアキャップ)を使用することで輸送する商品を保護しています。
- 適切な梱包作業
梱包作業の際は、完成品の写真や梱包マニュアルを作業場に掲示し、商品に合った適切な方法で梱包を行っています。
- 荷役作業の効率化
荷役作業時では、荷物を下ろす場所を事前に決定することで、対応もスムーズです。
さらに、5S活動や教育プログラムによって倉庫内での商品の破損も発生しづらい環境となっています。
物流のアウトソーシングは、商品が破損するリスクを低減し、信頼性の高い運送サービスを期待できます。必要であれば専門家にお任せしましょう。
商品破損時の補償による対応
商品の輸送中に破損が発生した場合は、運送会社が一定の金額上限まで補償することが一般的です。しかし、補償の対象や金額は契約条件によって異なります。
たとえば、以下のような状況では補償の対象外となる場合があります。
- 商品が破損しやすい性質を持つ場合
- 運送会社の落ち度ではなく、外部要因によって商品が壊れたと認められる場合
- 受取人が商品を引き渡してから一定の日数が経過しても連絡が無い場合
また、商品破損時の責任は、状況によっても異なります。浜松委托運送では、在庫管理に問題がある場合も補償を行います。
まとめ
商品の破損は最も多い物流事故です。破損対策には、オペレーションの見直しや梱包の変更、社員教育といった方法があります。しかし同時に対策しようとすると時間や手間がかかるでしょう。
そんな時は、物流業務全般をプロの業者にお任せすることも方法です。専門の業者にアウトソーシングすれば、手間をかけずに商品が破損するトラブルを防ぐことができます。
浜松委托運送では破損対策を徹底し高品質な物流サービスを提供しています。商品の破損対策に不安を感じているのであれば、ぜひ一度ご相談ください。
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