在庫の数から受注数を差し引くことを在庫引当と呼びます。在庫引当が分かれば、販売できる在庫の数が分かるため、在庫切れを防ぎ、適切な商品の仕入れタイミングも把握できるでしょう。
この記事では在庫引当について知りたい人に向けて、在庫引当の意味やメリット、在庫引当の実施方法を紹介します。自社の在庫管理に課題を抱えている人はぜひご覧ください。
■この記事でわかること
- 在庫引当を実施するメリット
- 在庫引当の方法
- 在庫引当を実施する際のポイント
目次
在庫引当とは
在庫引当の意味
在庫引当とは、受注時に在庫の数を差し引き、商品の在庫を確保することを意味します。これにより、注文された商品が他の顧客に先んじて売られるケースや、在庫切れになるリスクを減らせます。
在庫引当の目的や方法は、小売業と製造業でそれぞれ異なります。
- 小売業
顧客が店舗またはオンラインで商品を注文すると、その商品を在庫から差し引きます。これにより、顧客が商品を購入できることが確実になり、在庫の管理が向上します。
- 製造業
製造業では、部品や原材料の在庫引当が一般的です。生産計画に従い、特定の製品の製造に必要な部品や材料を在庫から差し引き、製造プロセスがスムーズに進行するようにします。
在庫引当の重要性
在庫引当を行う理由として、自社商品が販売できる数を正確に把握できることがあげられます。有効在庫数(現在の在庫数から引当分を引いた数)を明確にせず受注すると、在庫不足により出荷ができず、販売機会の損失や顧客トラブルにつながります。
特に支店が増えると、各支店の販売可能在庫が分かりにくく、営業担当者が受注したのに在庫がないという問題が起きやすくなるでしょう。そのため、販売管理の観点においても、在庫引当は重要です。
在庫引当の考え方・ロジック
在庫引当の有効在庫数は、実在庫数から引当数を差し引いて計算できます。引当数は受注された商品や特定の用途に予約された在庫です。在庫引当の有効在庫数の計算方法は下記の通りとなります。
- 有効在庫数 = 実在庫数 – 引当数
例としてある電子製品の在庫引当の計算をするとしましょう。実在庫数と引当数は下記の数値で設定します。
- 実在庫数:300台
- 引当数:50台
上の数字をもとに有効在庫数を計算すると下記のようになります。
- 有効在庫数 = 300 – 50 = 250台
有効在庫数はまだ顧客に提供可能な商品の数量を示しています。今回は顧客からの注文や特定の用途に予約された商品が50台となるため、50台を除いた250台が有効在庫数となります。
在庫引当を実施するメリット
在庫引当を実施することで、在庫管理の効率化やトラブルの防止につながります。ここでは、在庫引当を実施するメリットを紹介します。
在庫管理が効率化できる
有効在庫数を確認することで、出荷作業において適切な商品を選別し、誤出荷の防止に役立ちます。さらに、有効在庫数の明確な把握は、不良品や不具合のある商品の特定につながります。
万が一不良品が見つかった場合は、すぐに隔離できるため、サービスの品質が向上し、返品やクレームのリスクも下がるでしょう。
また、在庫数を共有することで、在庫の補充も迅速に行えます。突然の受注や需要の急増にも対応でき、欠品や余剰在庫を防ぐことも可能です。
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在庫が不足し、発送までの時間が長くなると、クレームやトラブルの原因となります。顧客は商品を素早く受け取りたいと望むため、遅延や欠品は信頼性の低下につながりかねません。
しかし、在庫引当によって確実に在庫を確保できれば、速やかに商品を発送でき、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。また、新たなビジネス機会を見逃すリスクを軽減し、収益の最大化にも役立ちます。
業態にもよりますが、原料や部品メーカーであれば在庫不足になった場合、取引先の生産を止めることになるため、絶対に発生させてはいけないトラブルの1つになっています。
在庫引当の方法
在庫引当を管理する方法は主に3つあげられます。在庫引当は手書きでも管理できますが、必要に応じてソフトウェアや在庫管理システムの導入も検討しましょう。
手書き管理
在庫引当を手書きで管理するメリットとして、システムが必要なく手軽であることがあげられます。また、ソフトウェアやデータベースの導入が不要なので、コストがかかりづらいことも利点といえるでしょう。
しかし、手書き管理は大規模な取引や高い在庫の複雑性を伴う業務には不向きです。多くの商品や広範な取引先を持つ場合、手書きでの在庫管理は効率的ではありません。
また、誤記や記録の不備が発生しやすく、迅速な情報共有やデータ分析が難しいことも注意点です。したがって、取引規模や事業の拡大に応じて、より効率的な在庫管理方法の導入を検討しましょう。
Excel・スプレッドシートでの管理
Excelやスプレッドシートのような表計算ソフトは、在庫引当において手書き管理よりも効率的です。これらのソフトウェアを利用することで、在庫情報の入力、更新、分析が簡単に行えます。
しかし、現場の担当者がこれらのソフトウェアを適切に操作できるかどうか、また表計算ソフトの機能がどこまで拡張可能かという点には注意しましょう。
また、表計算ソフトで大規模なデータを扱う場合には限界があるため、業務の成長に応じてシステムの導入を検討しましょう。 Excelやスプレッドシートは効率的な在庫管理に貢献できるツールですが、適用範囲には制約があることは覚えておきましょう。
在庫管理システムによる管理
在庫管理システムを利用することで、在庫の照会が容易に行え、適切な在庫数を確保できます。在庫に変更があった際も即座に反映できるので、リアルタイムで正確な在庫情報の把握も可能です。
さらに、在庫管理システムは、別の店舗や営業所の在庫であってもオンラインで在庫の状態が確認、共有できます。会社が保有する全体の在庫状況が分かれば、過剰在庫の保管によるキャッシュフローの悪化なども防げます。
また、在庫管理システムは物流業界でも使用されており、WMSなどが一般的です。WMSは、在庫の受発注やピッキング、荷造りなどの物流工程の効率化にも役立ちます。
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ビジネスの規模が大きくなれば引当数の変動も多くなり、在庫管理が大変になるだけでなく、リアルタイムで全拠点の在庫数を把握することで、欠品が見込まれた時にいち早く、対策を打つことができます。
在庫管理が自社で難しい場合は物流業者に委託することも一つの策です。
在庫引当を実施する際のポイント
ただ在庫引当を実施するだけでは、在庫管理を適切に行うことは難しいでしょう。在庫引当を実施する際は、下記のポイントも参考にしてみてください。
在庫の保管場所を明確にする
在庫の所在地が分からないと、紛失の原因となります。そのため、在庫管理のルールを組織内に共有し、全スタッフが在庫の所在地を正確に把握することが大切です。
ロケーション管理は、在庫の保管場所を明確にする手法の一つです。在庫となる商品に数字を割り当て、それをもとに倉庫内の特定の場所に保管します。その際に棚や倉庫にも番号を振ることで、各保管場所の管理を行うことが特徴です。
ロケーション管理により、在庫の所在地を特定しやすくなれば、作業の迅速化にもつながるでしょう。
受注の優先順位を明確にする
在庫引当を実施する際は、受注の優先順位を明確にしましょう。たとえば在庫数が2つしかない商品に対して3つの受注が発生した場合は、toCかtoBによって考え方が異なります。
toC(消費者向け)の場合は、先に受注した顧客に対して優先的に商品を発送することが一般的です。一方、toB(卸業者向け)の場合は、事業者と調整を行いながら優先順位を決定する必要があるでしょう。
また、同じオーダーでも出荷日が異なる場合もあります。その際は出荷日を考慮して優先順位を決めましょう。適切な優先順位を設定することにより、在庫を効果的に割り当て、顧客サービスや在庫効率の向上につながります。
定期的に棚卸しする
数値上の在庫と実際の在庫数が異なる可能性があるため、定期的な棚卸しも検討しましょう。棚卸しを行うことにより、在庫の正確性と信頼性が維持され、販売機会の損失を防ぐことができます。
また、棚卸しは、期間を設けて行うことをおすすめします。棚卸しの最適な頻度はビジネスの規模や種類によって異なりますが、週次、月次、年次などが一般的です。
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まとめ
在庫引当を行うことで、正確な有効在庫が把握でき、在庫管理の効率化に役立ちます。また、在庫が欠品するリスクも避けられるため、販売期間の損失防止にも有効です。
在庫引当は自社でも行えますが、取引の規模が大きくなると人員やコストがかかり、管理も難しくなるでしょう。自社による在庫管理に課題を抱えているのであれば、物流会社へアウトソーシングすることも方法です。
浜松委托運送は、独自の自社システムによって在庫管理を徹底しているため、納期遅延を起こさず、業務の効率化も図れます。複数店舗の受注処理にも対応できるため、社内のロジスティクスを委託するアウトソーシング先としてご検討ください。
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浜松委托運送の独自のWMSをチェックしてみるこの記事は執筆された時点での情報を元に記載されております。文書・写真・イラスト・リンク等の情報については、慎重に管理しておりますが、閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。記載内容や権利(写真・イラスト)に関するお問合せ等はこちら