FBA(Fulfillment by Amazon)は商品の保管や配送をAmazonに委託できるサービスです。FBAを利用すれば、商品の発送件数が増えても自社で対応しやすく、業務効率の改善にも役立ちます。
しかし、FBAの利用には事業者情報や商品の登録が必要となり、細かなルールや禁止事項もあります。そのため、FBAの利用方法がわからない企業様も多いかもしれません。
FBAを利用する際は、最初に出品者アカウントの作成から始めましょう。この記事では、FBAの利用を検討中の方に向けて、FBA納品のやり方や必要なものを紹介します。FBA納品の注意点も解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
※本記事の内容は、2023年11月6日時点の情報となります。最新の情報は公式サイトよりご確認ください。
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FBA(フルフィルメント by Amazon)とは?■この記事でわかること
- FBA納品で必要なものや情報
- FBA納品のやり方
- FBA納品の注意点
目次
FBA納品で必要なもの
AmazonのFBAを利用して商品を納品する際は、梱包材を用意して商品を梱包し、ラベルを貼る必要があります。FBA納品時の梱包に必要なものは以下の通りです。
- 段ボール(規定サイズ)
- はさみ
- カッター
- 緩衝材
- ラベル用のシール
- ラベル用シールのプリンター
また、商品の梱包に使用する配送箱についても、サイズや重量といった基準を満たす条件があります。下記の基準を超えてしまうと受領拒否になるため、こちらも参考にしてみてください。
在庫分散の商品サイズ区分 | パッケージのサイズと重量の制限 | メーカーが提供する輸送箱 | |
---|---|---|---|
小型/標準 | ・商品1点の三辺が45 × 35 × 20cm(長さ×幅×高さ)より小さい ・重量が9kg未満 |
・輸送箱の三辺が50cm x 60cm x 50cm(長さ×幅×高さ)より小さく 重量が30kg以下 かつ ・18.1×10.0×2.5cm(長さ×幅×高さ)より大きく 重量が0.15kg以上 |
・輸送箱の三辺が95cm × 69.9cm × 50.9cm(長さ×幅×高さ)より小さい ・重量が40kg未満 |
大型 | ・45cm × 35cm × 20cm(長さ×幅×高さ)より大きく、95cm × 70cm × 51cm(長さ×幅×高さ)より小さい ・重量が40kg未満、9kg超 |
・寸法の合計が216cm以内であること ・重量が40kg未満 | ・輸送箱の三辺が95cm × 69.9cm × 50.9cm(長さ×幅×高さ)より小さい ・重量が40kg未満 |
特大 | ・95cm × 70cm × 51cm(長さ×幅×高さ)より大きく、合計寸法が260cm以内であること ・重量が50kg未満 |
・三辺の合計寸法が400cm以内、最長辺が250cm未満であること ・重量が80kg未満 |
特大と同条件 |
ただし、手順や要件の変更によって必要なものが変わる可能性があるため、気になる方はAmazonセラーセントラルのページにアクセスして最新情報を確認することをおすすめします。
FBA納品のやり方
初めてFBA納品を行うのであれば、まずは出品者用のアカウントを作成しましょう。ここではFBA納品のやり方を紹介します。
【初めての場合】アカウント作成を行う
まず出品者アカウントを作成する必要があります。アカウントの作成には本人確認が必要になるため、事前に下記の物を用意しておきましょう。
- 顔写真付きの身分証明書
- 取引明細書(ガス、電気、水道料金等の請求書)
- ビジネス用のEメールアドレスもしくはAmazonアカウント
- 電話番号
- クレジットカード
- 銀行口座番号
出品者アカウントの作成は、こちらのページの「さっそく始める」をクリックすることで登録ページにアクセスできます。
Amazonセラーセントラルのアカウント登録ページにアクセスしたら、「Amazonアカウントを作成」をクリックして、名前やアドレス、パスワードなどを入力してください。
その後入力したアドレスに確認コードが届くため、入力画面で送信されたコードを入力します。
確認コードを入力したら次に業種を選択します。事業所の所在地と業種を選び、指名を設定したら「同意して続行する」をクリックしてください。
その後は、法人区分が法人か個人かによって進め方が異なります。それぞれ下記の順に必要な情報の入力やアップロードを行いましょう。
法人区分 | 法人 | 個人事業主 |
---|---|---|
手順 | 1.ビジネス情報の入力 2.出品者情報の入力 3.クレジットカード情報の入力 4.ストア情報の入力 5.本人確認書類のアップロード |
1.出品者情報の入力 2.クレジットカード情報の入力 3.ストア情報の入力 4.本人確認書類のアップロード |
また、事前に必要情報を準備しておくと情報の入力がスムーズです。登録に必要な情報は、法人と個人事業主ごとそれぞれ下記の通りです。
法人区分 | 法人 | 個人事業主 |
---|---|---|
必要情報 | 会社情報 法人番号 登記簿上法人名(ローマ字・日本語) 本社所在地 (住所)・郵便番号 店舗名(個人事業主の方も必須) |
アカウント担当者情報 顔写真入りの身分証明書 (パスポートまたは運転免許証) クレジットカード情報 各種明細書 |
アカウント担当者情報 | 顔写真入りの身分証明書 (パスポートまたは運転免許証) クレジットカード情報 各種明細書 |
– |
引用元:Amazon出品アカウントの本人確認手続き | Amazon出品サービスの販売方法
手順①納品する商品の登録・梱包
出品者用アカウントが作成できたら、FBAに納品する商品を出品登録しましょう。商品の登録方法と梱包方法はそれぞれ下記の手順で行います。
1-1.FBAに納品する商品をセラーセントラルに登録する
最初に出品用アカウントにログインし、セラーセントラルにアクセスしてください。次にメインメニューの「在庫」→「商品登録」をクリックし、商品登録画面を開きます。
商品の登録する際は、既にAmazonのカタログに商品が登録されている場合と、されていない場合でそれぞれ登録方法が異なります。
Amazonの既存の商品の場合
- 製品コード(ISBN、JANコードなど)を入力して商品検索
- 出品情報を入力する
Amazonに登録されていない商品の場合
- 商品の製品コード(ISBN、JANコードなど)を入力して、「Amazonで販売されていない商品を追加します」を押す
- 商品情報を入力して「保存して終了」をクリック
- 24時間以内に反映されるので反映された商品を登録する
また、FBAに納品する商品は一括で登録することも可能です。その場合は下記の手順で行ってください。
- メインメニューの「在庫」→「アップロードによる一括商品登録」をクリック
- 「在庫ファイルをダウンロード」のページで出品する商品のジャンルを選択して商品アップロード用のテンプレートをダウンロード
- ダウンロードしたテンプレートに登録したい商品を入力し、「在庫ファイルにアップロード」ページに入力したファイルをアップロードする
1-2.商品を丁寧に梱包
FBAに登録した商品は、購入者へそのまま発送できるようあらかじめ梱包しておきましょう。最低限の梱包はAmazonでも行いますが、基本的に梱包は販売者側の責任となるため、自分で対応したほうが安心です。
また、ラベルの貼り方などの梱包要件はAmazonで決められています。この要件が守られていないと納品不備として商品を受け取ってもらえない場合があるため、事前に確認しておくとスムーズです。
参考:梱包要件|Amazon
手順②納品プランの作成
商品の登録が完了したら納品プランを作成します。ここでは梱包の種類やラベルの貼り付け、担当者の設定方法など、納品プランの作成方法を紹介します。
2-1.納品したい商品を選択する
まずセラーセントラルのページの左上から「在庫」→「納品」をクリックして「Amazonに納品」を選択してください。納品プランの作成ページにアクセスしますので、FBAに納品したい商品を決めてチェックマークを入れ、「必要な梱包準備とラベルの貼付の詳細」を押してください。
また、FBAに納品したい商品は、「Amazonへ納品画面」の右上にある入力欄から商品名もしくはASIN、SKUを入力することによって検索もできます。
2-2.梱包のカテゴリーを選択する
次に「梱包カテゴリーを選択」を選択して、プルダウンから梱包カテゴリーを選び、「保存」を押してください。梱包カテゴリーは基本的に「梱包不要」で問題ありませんが、下記のように梱包時に注意が必要な商品もあります。
【梱包に注意が必要な商品】
液体商品 | ・保管中、輸送時に中身が漏れないように 容器をしっかり閉じて梱包する |
粉末状の商品 | ・ビニール袋に梱包して中身がもれないようにする |
繊維商品やおもちゃ | ・破損しないように商品全体を密封する ・子供が利用することを考慮して安全な包装を行う |
壊れやすい商品 (ガラスやセラミックなど) |
・段ボール箱に入れて衝撃や落下に耐えられるようにする |
また、Amazonでは破損しやすい商品に関して振動テスト、落下テストを行うことも推奨しています。不安な方は、事前にテストを行い、安全かどうか確認しておくと安心です。
商品ラベルの貼り付け設定は、「梱包の詳細」ページにある「商品のラベル貼付を誰が行いますか」から設定できます。自分や代行者がラベルを貼る場合は「出品者」、Amazonで代行を依頼する場合は「Amazon」(手数料が必要)を選び、「保存」を押しましょう。
次に商品の出荷数量と賞味期限(期限管理商品)を入力し、「梱包準備完了」を押したら、ラベルの印刷が可能できるようになります。なお、納品プランを作成した在庫は「発送準備ができているSKU」を選択すると内容を確認できます。
手順③納品準備と納品設定
納品プランの作成ができたら納品準備と納品方法を設定しましょう。その際は下記の手順に沿って進めてください。
3-1.輸送箱の情報を入力する
輸送箱内の商品情報の入力は、「ステップ1b – 個別の商品を梱包」のページから行えます。輸送箱の量に応じてそれぞれ対応方法が異なるため、詳しくは下記を参照してください。
① 輸送箱が少ない場合(Webフォーム上で入力)
まずプルダウンで「Webフォームで入力」を選び、輸送箱の数を入力したうえで「Webフォームを開く」を押してください。
入力フォームが表示されますので、輸送箱ごとの商品数や賞味/消費期限(該当する場合)、輸送箱の重量と寸法を入力します。違うサイズの輸送箱も使用するのであれば、「+輸送箱の寸法を追加」を選択し、記入欄を増やしてください。
② 輸送箱が多い場合
輸送箱の数が多い場合は、.xlsx形式もしくは.tsv形式のファイルをアップロードすることで、まとめて輸送箱の情報を登録できます。
- .xlsx形式の場合
「輸送箱リストをダウンロード」からテンプレートファイルをダウンロードし、輸送箱の商品数や消費、賞味期限、箱の寸法や重量などの情報を入力して保存してください。ファイルの保存が完了したら、「輸送箱リストをアップロード」を選び、作成したリストをアップロードしましょう。
- .tsv形式の場合
「輸送箱リストをダウンロード」をクリックし、スプレッドシートでファイルを開きます。
次にファイル内の「[納品番号] U001 – 数量項目」に、1個目の輸送箱に梱包した各商品の数量を入力してください。
そのあとは、「[納品番号][輸送箱番号] – 賞味/消費期限」に賞味期限、消費期限の日付を追加して保存してください。データの保存が完了したら、「輸送箱リストをアップロード」から入力したデータをアップロードします。
3-2.出荷に関する情報を入力する
まず出荷日を入力し、配送情報を選んでください。配送情報は「個別配送(SPD)」「パレット輸送」の2種類がありますが、FBA納品の場合は、「個別配送(SPD)」を選択します。
配送業者は、通常ですとヤマト運輸(パートナーキャリア)が設定されています。ほかの配送業者を利用する場合は、「Amazonパートナーキャリア以外」を選択しましょう。
また、海外発送や輸送箱の重さが25kgを超える場合もヤマト運輸が利用できないため、「Amazonパートナーキャリア以外」の配送業者を選んでください。その後は金額や内容を確認し、「請求額を承認して出荷通知を送信」を押してください。
3-3.商品ラベルの印刷と追跡情報を入力する
商品ラベルを印刷する際は、「手順3-輸送ラベルを印刷」画面からプルダウンでラベルの印刷方式を選択して「印刷」をクリックしてください。
印刷されたラベルを記入する際は、にじみや印字擦れが無いかも確認しておきましょう。また、ラベルを貼り付ける素材が塩化ビニルや布、皮のような凹凸のある素材だと、ラベルが読み取りにくくなったり、剥がれやすくなったりする可能性があるため注意しましょう。
ラベルの印刷や貼り付けが完了したら、「追跡情報の入力へ進む」をクリックしてください。次に追跡情報を入力すれば納品の準備は完了となります。
その後はFBA納品をする商品を指定の配送センターへ配送してください。配送した商品がAmazonセンターに到着すると、在庫の状態や数量がAmazonのサイトで確認できるようになります。
FBA納品における注意点
FBAの納品には、出品制限や配送箱の条件など、Amazonが指定したルールを守る必要があります。このルールを守らない場合は、ペナルティが課せられるだけでなく、商品が返送されたり納品自体ができなったりする場合もあります。
そのため、AmazonのFBAを利用する場合は、どのようなルールがあるのか確認しておくと安心です。また、Amazon FBAのガイドラインは定期的に情報が更新されるため、最新情報を確認することも大切です。
ここでは2023年11月時点のFBA納品における注意点を紹介します。
Amazonが出品を制限している商品を確認する
Amazonでは食品や医薬品など、安全性を理由に出品を制限している商品があります。出品制限されている商品として、以下のようなものがあげられます。
- 酒類の取り扱い
- 動物と動物商品
- カー&バイク用品
- 医薬部外品および化粧品
- 通貨、硬貨、および現金同等品
- 栄養補助食品
- 医薬品
- 武器および武器を模した商品
- 食品&飲料
- アダルト商品
- 不快感を与える、または物議を醸す商品
- Amazon デバイスおよび修理・メンテナンス用アクセサリ商品
- 電化製品・電子機器 など
引用元:制限対象商品|Amazon
このうち、食品のような消費期限がある商品は、「要期限管理商品」として別途マニュアルに沿って取り扱う必要があります。詳細な内容はマニュアルで確認できますが、主に下記のような内容となります。
- FC(フルフィルメントセンター)に到着した時点で消費期限まで60日以上あること
- 消費期限まで45日以下の在庫は廃棄される
- ラベルが無いと混合納品が不可になる
配送箱の条件・状態を確認する
前述の通りFBAを利用する際は、購入者へそのまま発送できる状態で梱包を行う必要があります。そのため、輸送箱の破損や汚損、複数の輸送箱をまとめている場合などは、Amazonに配送しても受け取ってもらえません。
何度も返送を繰り返していると、ペナルティとしてFBA利用禁止措置を受ける可能性もあるため、配送箱の梱包要件を満たしているか確認したうえで発送しましょう。
FBAの手数料を確認しておく
FBAの利用は無料ではなく手数料がかかります。FBAの利用にかかる手数料は、主に「配送代行手数料」と「在庫保管手数料」の2つがあります。
・配送代行手数料
梱包や配送、カスタマーサービスに対して発生する手数料です。詳細な金額は商品の重量やサイズによって分かれているため、気になる方はカテゴリーごとの販売手数料を確認しておきましょう。
・在庫保管手数料
出品者が納品した在庫の保管スペースに対してかかる手数料となります。こちらも保管時期や商品のサイズ、種類によって金額が異なるため、併せて確認しておきましょう。
また、その他の手数料として、下記の項目として金額の支払いが必要な場合があります。
- 納品不備受領作業手数料
- 購入者返品手数料
- 長期在庫保管手数料
- 返送/所有権の放棄手数料
ほかにも商品の不備による返送費や在庫の保管期間などでも別途手数料が発生します。
FBA納品におけるよくある質問
最後にFBA納品におけるよくある質問を紹介します。作成した納品プランの削除方法や効率化のポイントなど、FBAを利用するうえで知っておきたい内容をまとめました。
FBA納品でプランをキャンセルする場合
一度作成した納品プランを削除または変更する場合は、出荷通知を送信したかしていないかで手順が異なります。
・納品プランを作成した後(ステップ1まで完了)の状態の場合
まず「ステップ1 発送する在庫を選択」画面の右端にある「表示/編集」を選択します。次に変更したい商品を選んで「変更または削除」を押してください。プランの編集画面になるため、画面の指示に従って内容を修正または削除を行ってください。
・「請求額を承認して出荷通知を送信」まで押してしまった場合
出荷通知を送信した場合は納品プランの修正ができないため、一度削除する必要があります。納品プランの詳細画面から、「納品設定をキャンセル」をクリックしてプランを削除し、再度プランの作成を行ってください。
FBA納品業務を効率化する方法は?
納品プランの作成は、「メーカー梱包テンプレート」を利用すると作成時間を短縮できます。具体的な手順は下記の通りです。
まず、「ステップ1 発送する在庫を選択」画面を開き、「梱包の詳細」→「新しいメーカー梱包テンプレートを作成」をクリックし、必要情報を入力します。
その際に商品数や輸送箱寸法、重量、商品ラベルの貼り付け担当者を保存しておくことで、テンプレートの作成や納品プランの作成にかかる時間が短縮できます。
また、同じSKUごとに3種類のテンプレートが保存できるため、納品数別にテンプレートを登録しておけば、在庫の補充にかかる時間も短縮できるでしょう。
まとめ
FBAは、Amazonが販売事業者様向けに提供する委託サービスです。FBAを利用すれば、商品の保管や発送業務をAmazonにお願いすることができるため、商品の数や発送件数が増えても自社で対応しやすくなるでしょう。
しかし、FBAの利用には、納品プランの作成に手間がかかり、Amazonのルールも順守する必要があるため、取り組みが難しいと感じる方も多いかもしれません。
受注処理や在庫管理の効率化を目的にFBAの利用を考えているなら、物流工程ごとアウトソーシングすることも方法です。
浜松委托運送は、通販物流業務のアウトソーシング先として、アパレル業界や小売業界をはじめ、多くの企業様からご利用いただいています。受注管理や発送業務の代行にも対応していますので、物流業務に課題を感じる方は、ぜひ一度ご相談ください。
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