在庫管理や受発注における最小の管理単位をSKUと呼びます。SKUの意味や設定方法を正しく理解できれば、誤発送や発注ミス、過剰在庫を防ぎ、効率的な在庫管理の実現にも役立ちます。
しかし、SKUが具体的にどのような定義なのかがわからないまま、在庫管理業務を行う方もいるかもしれません。この記事ではSKUの意味を知りたい方に向けて、SKUの概要やメリット、設定方法を紹介します。
■この記事でわかること
- SKUの意味や設定方法
- SKUでの管理が有効とされる理由
- SKUを設定する際の注意点
目次
SKUとは
SKUは在庫保管単位(Stock Keeping Unit)の略称で、物流から小売などにおける在庫管理の最小単位を意味しています。これは商品をカテゴリーのように大きな分類でなく、これ以上分類できない個別の商品を指す単位です。
アパレル業界では、商品の色やサイズなどの異なる組み合わせごとに異なるSKUが割り当てられます。たとえばある商品のサイズがS、M、Lの3種類と、白と黒の2種類のカラーバリエーションを持つ場合は、合計で6つの異なるSKUが存在します。
SKUの設定によって商品の細かなバリエーションが識別できます。そのため、在庫管理以外にも、発注や販売、トラッキングといった工程においても重要な要素です。
SKUの設定方法
SKUは会社が管理しやすいように自由に設定できます。しかし、何も考えずに設定してしまうと、誤発送や誤発注といったトラブルにつながるため、慎重に設定しましょう。
ここではSKUの設定する際の基本の考え方や商品ごとに区別してSKUを設定するケースを紹介します。
基本の考え方
SKUを設定する際は、メーカーが発行しているJANコードを1単位とする場合が多くあります。JANコードとは、バーコードに書いてある数字のことで、メーカーの裁量によって商品ごとに設定されていることが特徴です。
JANコードをSKUの単位にすることで、同一の商品かどうかが識別しやすく、在庫管理も効率的に行えます。
SKUを区別して取り扱うケース
同じ種類の商品であっても、色やサイズ、内容量が違う場合は、基本的に別のSKUとして取り扱われます。ここではSKUを区別して設定するケースについて紹介します。
色やサイズが異なる
商品の色やサイズが異なる場合は、それぞれ別のSKUの設定が必要です。たとえばTシャツや靴などの商品は、同じデザインやモデルであっても、サイズや色が違えば、それぞれ別のSKUが必要です。
また、顧客が特定のサイズや色を選択する場合も、色やサイズごとにSKUを設定することで、商品を正しく発送でき、誤出荷も防げます。そのため、同じ商品であっても色やサイズごとにSKUを設定することは重要です。
内容量が異なる
同一商品の内容量が異なる場合も、SKUを別々に設定する必要があります。たとえば、食品や化粧品などに300mlと500mlの容量がある場合は、容量ごとに別のSKUを設定することで、正確に在庫を管理しやすくなります。
一方、期間限定で容量が増量する場合は、既存のSKUを用いて対応できると、新たなSKUを設定する手間が省けるため、必要に応じてSKUを設定できると効率的です。
セット売りとバラ売りがある
メーカーがケース単位で商品の販売を想定していた場合、外箱にJANコードが記載されていることがあります。このようにセット売りとバラ売りが想定された商品は、それぞれ別のSKUを設定することで、正確に在庫を管理でき、誤出荷のリスクも抑えられます。
同一商品だが価格が異なる商品
セールやキャンペーンによって、同じ商品でも価格が異なる場合は、別のSKUを設定しましょう。
価格設定別に異なるSKUを使用することで、売上データの分析がより正確に行え、どの価格帯で販売が好調なのかが把握できます。そのため、在庫管理だけでなく、価格戦略の改善やキャンペーンの評価にも役立つでしょう。
パッケージデザインが異なる商品
商品のパッケージデザインが異なる場合、状況によって同一のSKUを設定するか検討する必要があります。パッケージのデザインが変わった商品であれば、自動的に新しい商品が出荷されていくため、これまでと同じSKUを設定しても問題ありません。
しかし、期間限定のパッケージだった場合は、そのパッケージ目当てで購入する顧客もいるため、SKUを分けたほうが良いこともあります。
また、SKUを分けることで、限定のパッケージにどれだけの人気があるのかが分析でき、今後の価格設定や事業計画の参考にもなります。
ライフサイクルや販売先を考慮したい商品
ファッション商品やスマホやパソコンといったテクノロジー製品は、デザインや機能が急速に変化し、ライフサイクルも短いため、SKUによる管理や設定に柔軟な対応が求められます。
また、同一の商品であっても、販売先が複数の地域や国に分かれる場合は、SKUを区別することが望ましいでしょう。特に海外への販路がある場合は、異なる地域や国での規制や需要の違いに対応する必要があるため、それぞれ別のSKUを設定すると管理や販売データの分析がしやすくなります。
SKUでの管理が有効とされる理由
SKUは商品がどれぐらい売れたのか、どれぐらいの在庫が残っているのかを確認する時に役立ちます。SKUは物流業界における管理に活用できるため、どのように役立つのか確認しておきましょう。ここではSKUによる管理が有効な理由を紹介します。
在庫管理を効率よく行える
SKUを利用することで、在庫の個数を正確に把握できるようになります。SKUはメーカー、物流、小売業界といったビジネスにおける流通網全体の共通言語です。そのため、SKUを通して物流網の在庫状態をリアルタイムで把握しやすくなります。
在庫状態が把握できれば、需要の変動に対しても迅速に対応しやすく、効率的な物流運営にも役立つでしょう。
また、正確な在庫管理は、商品の生産や仕入れ、販売の際にも重要です。SKU登録によって手入力を最小限に抑え、自動的な発注処理が実現できれば、業務全体の効率化も図れます。
売上データを細かく分析できる
SKUを活用することで、商品の売上データを細かく分析できます。たとえば、SKU別に売上データを分析できれば、どのタイミングでどんな商品が売れているのかが正確に把握できます。
さらに、SKUを使用して購買傾向が把握できれば、データをもとに製品や在庫数の改善にも役立つでしょう。
SKUを設定する際の注意点
SKUを設定する際は、ルールや規則、体系がブレないように気を付けましょう。設定したSKUが自社のルールに沿っているのか定期的に見直すことも大切です。
また、SKUを正しく利用するためには、商品に関わる全スタッフがSKUを理解する必要があります。そのため、必要に応じて教育や指導も検討しましょう。ここではSKUを設定する際のルールについて詳しく紹介します。
重複は避ける
同じSKUを異なるアイテムに適用すると、誤出荷のリスクが高まります。ほかにも発注ミスによる不良在庫の発生や保管スペースの占領にもつながるでしょう。
SKUを設定する際は、商品が増えることを前提に、連番やアルファベットなどを併用すると、別の商品同士でSKUが重複しにくくなります。
大文字と小文字はどちらかに統一
SKUを設定する際に大文字と小文字を混在させると、認証システムが同一の商品と判断してしまう可能性があります。気づかないうちにSKUが重複していたという事態を避けるためにも、大文字または小文字で統一しましょう。
また、どちらかに統一することによって、目視による作業ミスの防止にもつながります。
頭文字に0を入れるのは避ける
一部のシステムでは、頭文字が「0」から始まるSKUを正しく認識せず、別のSKUとして取り扱う可能性があります。
たとえば、「012a3」というSKUを設定した場合、システムによっては「12a3」として認識され、別のSKUの商品として重複や誤認識されるケースが考えられます。
このような誤認識は在庫管理や物流プロセスに混乱を招きかねないため、SKUの設定において、頭文字に「0」を使用することは避けましょう。
まとめ
SKUとは、商品を管理するために設定する最小の単位です。商品ごとにSKUを設定すれば正確に在庫を管理でき、発送ミスの防止にもつながります。その際は、同じ商品でも商品の色やサイズ、内容量ごとに別々のSKUを割り当てましょう。
また、正しいSKUが設定されているか、定期的に設定したSKUの見直しを行うことも大切です。しかし、SKUの設定や見直しには手間がかかるため、そこまでリソースを割けない企業も多いかもしれません。
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