バンニング作業とは、輸出する貨物を海上コンテナに詰め込む作業のことで、行う場所やタイミングは決まっています。
現状、バンニング作業では作業時間の長さや貨物破損のリスクなどさまざまな課題を抱えています。安全や効率を高めながらバンニングをするためには、課題への理解を深めておくべきでしょう。
本記事では、バンニング作業の課題やポイントを解説しています。これからバンニング作業を行う方、既に行なっている方も参考にしてください。
■この記事でわかること
- バンニングとデバンニングの意味
- バンニングの課題
- バンニングを取り組む際のポイント
目次
バンニング作業とは
バンニング(Vanning)作業とは、輸出貨物をコンテナに詰め込むことです。vanには「貨物をコンテナに積み込む」といった意味があり、vanが動詞化し、バンニング(Vanning)となっています。
反対に輸入貨物をコンテナから取り出す作業がデバンニングです。通常、輸出される貨物は保税地域である保税蔵置場に運ばれ、輸出通関後にバンニングが行われます。
バンニングするコンテナについて
コンテナとは、統一された規格の輸送用資材のことで、倉庫や物流センター内で利用される箱状の容器を指します。また、マテハン資材をコンテナと呼称する場合もあります。
一般的にコンテナとは船舶や鉄道などを利用して輸送されるコンテナを指していますが、バンニングにおいては海上コンテナを指すことが多いです。
コンテナの種類
コンテナには大きく分けると下記の種類があります。一般的にバンニングは海上コンテナに対して使用される言葉です。
- 輸出入で利用される海上コンテナ
- 国内の内航海運に利用されるコンテナ
- 鉄道輸送で利用されるコンテナ
輸出入で利用される海上コンテナ
海外との輸出入に利用されるコンテナには、利用目的によって種類が異なります。主な種類は以下のとおりです。
種類 | 詳細 |
---|---|
ドライコンテナ | 主に常温品の輸送に利用される |
リーファー(冷凍、冷蔵)コンテナ | 冷凍品、冷蔵品など温度管理が必要な貨物に利用される |
オープントップコンテナ | 天井がないコンテナでコンテナ内に収まらない貨物に利用される |
フラットラックコンテナ | 平らなラック状のコンテナで機械や木材の輸送に利用される |
タンクコンテナ | 液体の輸送に利用される |
例えば、常温品の輸送であればドライコンテナ、温度管理が必要な冷凍・冷蔵品の貨物にはリーファーコンテナを利用します。
ほかにも、コンテナ内に収まらない貨物が入るオープントップコンテナや、機械や木材の輸送に便利なフラットラックコンテナ、液体輸送に利用するタンクコンテナなどがあります。
国内の内航海運に利用されるコンテナ
日本国内の内航海運で利用される海上コンテナは、特に沖縄や離島向けなど特定の輸送に利用するコンテナです。ドライコンテナとリーファーコンテナの2種類があります。
コンテナは両側開きのものや片側開きのもの、軽量化を追求したものや、耐候性能を重視したものなど、作業のしやすさによっても選択が可能です 。
鉄道輸送で利用されるコンテナ
主にJR貨物の国内輸送で利用されるコンテナです。コンテナの種類は、ドライコンテナとリーファーコンテナなどがあり、海上のコンテナと同様、幅広い貨物に対応可能です。
例えば、真空断熱パネルを採用することで、従来の冷蔵コンテナよりもより高い断熱性能をもつもの、コンテナ室内に開閉可能な通風装置が設置されており、室内の空気を換気できるものもあります。
一部の区間では、一度に大量の貨物を輸送できる20フィートのコンテナも利用でき、積み込みや荷下ろしの作業効率化も見込めるでしょう。
コンテナのサイズ
コンテナのサイズは、厳格に規定され標準化されています。
輸出入に利用される海上コンテナはISOで厳格に規定されており、世界中のコンテナ船やコンテナ運送業者は、この規格に基づいたオペレーションを行っています。
種類 | 主なサイズ |
---|---|
海上コンテナ | 40フィート、20フィート |
国内の内航海運用の海上コンテナ | 12フィート |
国内のJRコンテナ | 12フィート、20フィート、31フィート |
国内の内航海運で利用されるコンテナは、日本産業規格「JISZ1610:2015 国内貨物コンテナ-外のり寸法及び共通仕様」で規定されています。
バンニング作業の課題
バンニング作業の主な課題は以下の3つです。
- 作業時間がかかる
- 貨物破損のリスクがある
- 過酷な労働環境
これからバンニング作業を行う方はもちろん、現状でバンニング作業を行なっている方も課題を改めて理解し、改善に向けて取り組むことが大切です。
作業時間がかかる
バンニング作業が完了するまでには、かなりの作業時間を必要とします。
バンニング作業は貨物をコンテナへ積み込むだけでなく、ほかにも検品や確認、記録や報告など、さまざまな作業で成り立っています。そのため、すべての工程を含めると作業時間が長引いてしまうでしょう。
特にフォークリフトで移動させるパレット積みではない場合、手作業でバンニングを行わなければなりません。人手が必要になり時間もかかってしまいます。
貨物破損のリスクがある
バンニング作業中は、常に貨物が破損するリスクが伴います。
大量の貨物を時間内に積まなければならないため、作業者の疲労の蓄積や集中力の低下を招くことがあります。そのため、貨物を破損させてしまうリスクが高まります。 貨物が破損した場合、従業員が怪我を負う、企業の信用が低下するなどのリスクにもつながるでしょう。
貨物破損しないためには、迅速かつ丁寧な作業が求められます。
過酷な労働環境
バンニング作業は屋外で行うことが多く、労働環境は過酷といえます
屋外の作業は外気温の影響を受けやすく、夏のコンテナは暑く、冬は凍えるような状況で作業を行うため、作業者への負担が大きいでしょう。
また、作業中に貨物の荷崩れなどの危険性もあるため、常に危険と隣り合わせの作業になります。過酷さにより作業者が集まらなければ、一人ひとりの負担が増えてさらに過酷な労働環境になることも考えられるでしょう。
バンニング作業にあたって取り組みたいこと
バンニング作業にはさまざまな課題があるため、改善するためにも新しい取り組みが必要です。主に以下の取り組みを行うと効果的といえます。
- 荷崩れを予防する
- デバンニングのための配慮が必要
- 作業記録を残す
それぞれ詳しく解説していきます。
効率的に貨物を積み込む
バンニング作業では一度にできる限り多くの貨物を積み込めるよう、積み方の工夫が必要になります。
例えば、パレット(1100×1100サイズ)に積付けをする場合、JPR 日本パレットレンタル株式会社のサイトでは商品のサイズを入力することで、最適な積付けパターンを調べられます。このようにシステムを活用して効率的な積み方を把握するのも一つの方法です。
荷崩れを予防する
輸送中に海が荒れた場合、荷崩れや貨物へのダメージがリスクとして挙げられます。
荷崩れを予防するためには、片側に積みすぎないことや、貨物の重さでバランスの良い配置を決めることが大切です。また、養生資材などを利用してダメージリスクを回避、予防することも可能です。
貨物にダメージを与えてしまった場合、貨物の瑕疵問題や保険求償になるので注意しましょう。
デバンニングのための配慮が必要
バンニングの際は、デバンニングしやすいように積みつけることも大切です。積み方に工夫をしないと、デバンニング作業に時間がかかってしまい効率が悪くなってしまいます。
また、最悪の場合、取り出す際の荷物の落下などにより、事故につながる可能性もあります。バンニングの際にコンテナの状態も確認して、デバンニングのための配慮を忘れないようにしましょう。
作業記録を残す
バンニングを誰が対応したのか、毎回作業記録を残しておくようにしましょう。対応した人がわかれば、破損が見つかった場合なども原因がどこにあるかすぐに確認できます。
また、トラブル発生時の対応もスムーズに行えるため、無駄な時間を使ってしまう心配もないでしょう。ほかの作業者が疑われることもないため、従業員を守ることにもつながります。
まとめ
バンニングは貨物をコンテナに詰め込むことで、反対に取り出す作業がデバンニングです。コンテナにはさまざまな種類があり、貨物の大きさや重量などの特徴に合わせて適切なものを選択する必要があります。
また、バンニングは作業時間がかかるうえに、貨物破損や過酷な労働環境などの課題が見られます。これら課題の解決や効率化のためには、荷崩れの予防やデバンニングのための配慮、作業記録を残すなどの取り組みが重要になるでしょう。
ただし、バンニングは専門的スキルやノウハウが必要な物流工程であるため、物流業務を得意とする事業者に依頼する方法もあります。浜松委托運送では、バンニング含めた物流業務の対応も可能なので、ぜひお気軽にご相談ください。
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