物流業界でよく耳にする輸送や配送、運送という用語は、似ているようでそれぞれ異なる使われ方をしています。なかでも輸送はモノだけでなく、ヒトを運ぶことも含むのが特徴です。物流においては一次輸送とも呼ばれ、例えば製造工場から大量の商品を各所の物流センターへ運ぶケースなどで用いられます。
運ぶ対象や手段によっては輸送ではなく、配送もしくは運送となるため、適切な意味を知り物流用語への理解を深めましょう。本記事では、輸送の意味や配送・運送との違い、主な輸送手段の特徴を解説します。
■この記事でわかること
- 輸送の概要
- 輸送手段ごとの特徴
- 国内での輸送手段の割合
目次
輸送とは
輸送と似た言葉に配送や運送がありますが、それぞれ異なる意味を持ちます。なかでも輸送とは、大量のモノや多くの人を長距離運ぶことを指し、配送や運送とは移動距離・運ぶ対象・移動手段の3点で違いがあることを覚えておきましょう。
輸送の意味
輸送とは、目的の場所へ「多くの人やモノを運ぶ」ことです。物流においては一次輸送とも呼ばれ、輸送開始拠点から長距離の移動をしながら、人やモノを移動させる役割を担っています。
例えば工場Aで作られた大量の商品などを、長距離の移動を伴って工場Bに運ぶケースなどが輸送です。そのほかにも、鉄道や飛行機などで人を移動させることも輸送といいます。
輸送の主な手段は以下の4つです。
- トラック輸送(トラックで運ぶ)
- 鉄道輸送(鉄道で運ぶ)
- 海上輸送(船で運ぶ)
- 航空輸送(飛行機で運ぶ)
トラックや鉄道など陸路で運ぶ場合には陸送、船で運ぶ場合は船送、飛行機であれば空送などと呼ばれることもあります。
配送・運送との違い
輸送と似ている「配送」「運送」という言葉は、それぞれ使用場面が異なります。3つの言葉の正しい意味は、下表のとおりです。
言葉 | 意味 |
---|---|
輸送 | 目的の場所まで、長距離の移動を伴いながら「人やモノ」を運ぶこと(一次輸送) |
配送 | 近距離の小口輸送のことで、自動車やトラック、バイクを用いて物流センターなどから消費者や小売店といった複数の場所に「モノ」を運ぶこと(二次輸送) |
運送 | 自動車やトラックを用いて「モノ」を運ぶこと(輸送・配送の意味も含まれる) |
輸送と配送、運送の大きな違いとして、「距離」「運ぶ対象」「運送手段」の3つが挙げられます。
- 距離
輸送は長距離であるのに対し、配送は近距離の移動です。運送の場合は、距離を問わずモノを運びます。 - 運ぶ対象
輸送にはモノだけでなく人を運ぶことも含まれますが、配送と運送はモノの移動のみを指します。また、運送は「モノを運ぶ」という意味で、輸送と配送の意味も含んだ言葉です。 - 運送手段
輸送にはトラック・鉄道・船・飛行機の4つの手段があり、配送は自動車やトラック、バイクを用いて、運送は自動車やトラックを用いてモノ運びます。
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輸送手段ごとの特徴
上述したとおり、輸送とはトラック・鉄道・船・飛行機の4つの手段によって成り立つものです。これらの輸送手段は、それぞれ違った特徴を持っています。
輸送手段 | 特徴 |
---|---|
トラック輸送 | ほかの輸送手段と比べて一度に運べる荷物は少ないが、利便性と柔軟性が高い |
鉄道輸送 | 一度に大量の荷物を運べて、スケジュール通りに輸送できる |
海上輸送 | 運ぶための時間はかかるが、コストを抑えつつ海外への輸送も可能 |
航空輸送 | 運べる荷物には制限があるものの、素早く運べて海外への輸送にも対応できる |
トラック輸送
トラック輸送は、ほか3つの輸送手段に比べて一度に運べる物量は少量です。しかし、輸送開始拠点から目的の場所までダイレクトに運べるため、利便性に優れています。お客様が希望する時間に合わせた柔軟な対応が可能で、積み替えが少ないためモノの破損リスクが少ないのも特徴の一つです。
一方で、CO2の排出量が多いといった課題もあり、バイクなどの排気量が少ない輸送手段の活用も検討する必要があります。
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共同配送といって、配送先エリアごとに集荷した他の貨物と一緒に配送する方法を採ることで、輸送コストやCO2の削減も見込めます。
鉄道輸送
鉄道運送は、一度の輸送で大量の荷物を運ぶときに適しています。鉄道はトラックと同じ陸送ですが、稼働時間が決まっており、基本的には到着時刻が正確であるため、スケジュール通りの輸送が可能です。
また、ほかの輸送手段と比べて環境負荷への負担が少なく、CO2削減に向けた取り組みとしても注目されるようになりました。浜松委托運送でも、鉄道を活用した輸送を行っています。
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海上輸送
海上運送を利用すれば国内だけでなく海外への輸送も可能です。コンテナ船やタンカーなどさまざまな手段があり、荷物の特徴に合わせて選択されます。
海上輸送では、一度に大量の荷物や重い荷物を運べるうえに、航空機による運送よりも少ない運送コストでの利用が可能です。ただし、航空輸送に比べると時間がかかる点がデメリットといえるでしょう。
航空輸送
航空輸送も海上輸送と同じく、国内のみならず海外への輸送にも対応できます。大量の荷物を素早く運べるため、急ぎで輸送が必要なケースにも最適です。
また、航空事故やテロ行為防止のため セキュリティが高く保たれていることから、より安全に貨物を運べます。ただし、重い荷物やかさばる荷物は制限があるため、量が多い運送には不向きといえるでしょう。
国内における輸送手段の割合
国土交通省が調査を行った令和4年度交通の動向によると、国内の貨物輸送はトラックが91.4%を占めています。そのほかの輸送手段の割合は、鉄道輸送が0.9%、海上輸送が7.6%、航空輸送は0.01%となっており、多くの輸送にトラックが利用されていることがわかります。
トラックが国内の貨物輸送の大半を占める理由として、以下のような背景が考えられるでしょう。
- 輸送開始拠点から目的の場所までドア・ツー・ドアの輸送が可能で、利便性が高い
- 時間を問わずに輸送を行えるため、幅広い業種やサービスのニーズに対応できる
- 鉄道・海・航空による輸送手段の末端輸送の大半を、トラックが担っている
日本国内は島国であり国土が狭いため、トラックのほうがコストを抑えながら輸送できます。また、小規模の店舗では商品を多くストックしておくことが難しいため、大量の荷物を運ぶ必要がないことも理由の一つです。
また、鉄道や船、飛行機は稼働する時間が決まっているという点でも、時間を問わずに運べるトラックは重宝されます。鉄道や船、飛行機で輸送する場合であっても、最終的な目的地までの輸送でトラックを使用することから、必然的にトラックの割合が高まっているのでしょう。
国内輸送ではトラック輸送の割合が多くを占めています。しかし、2024年4月よりトラックドライバーの時間外労働規制が厳しくなります。
それに伴い、長距離輸送や生鮮物など輸送スピードが求められる案件に対応できなくなる会社が増えることが予想されます。そのためBCP対策として鉄道や内航船を利用することも検討してはいかがでしょうか。
まとめ
輸送とは長距離の移動を伴ってヒトやモノを運ぶことであり、トラックを筆頭に、鉄道や船、飛行機などの手段が用いられています。それぞれの輸送方法によって運べる場所や量が異なるため、荷物に合わせた使い分けが重要です。日本国内の輸送においては、国土が狭いことや柔軟性が高いことを理由に、多くのケースでトラックが使用されています。
浜松委托運送の拠点である浜松市は本州の真ん中に位置するため、東京・大阪といった東西への配送についてもスムーズに対応が可能です。保税倉庫も備えており、輸出入における業務も一気通貫でお任せいただけますので、物流業務のアウトソーシングをご検討中の方はぜひご相談ください。
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