荷姿とは、輸送される荷物の外観や梱包の状態を示す用語です。荷姿にもさまざまな種類があり、輸送するものに合わせて適切に選ばなければなりません。仮に不適切な荷姿で荷物を送ってしまった場合、無駄なコストがかかったり、輸送時に商品の状態が悪化したりといったリスクがあります。輸送効率や輸送品質向上のためにも、荷姿の正しい選び方を理解しておきましょう。
本記事では、荷姿の意味や種類ごとの特徴、荷姿の適切な選び方を解説します。物流業界に携わる方や物流用語への理解を深めたい方は、参考にしてみてください。
■この記事でわかること
- 荷姿の意味
- 荷姿の種類や素材
- 適切な荷姿を選ぶポイント
目次
荷姿とは
荷姿とは、荷物を輸送するときの外観を指しており、読み方は「にすがた」です。また、商品の梱包の状態を表す際にも使われます。荷姿には素材や形状などにいくつかの種類があり、荷物に合わせて最適な荷姿を選択することで、輸送効率の向上や輸送品質の向上を図ることが可能です。
輸送する荷物は食品、衣類、電子製品やその部品など多岐にわたり、さらには輸送先が国内だけでなく国外となるケースもあります。このため、荷物の内容と同時に輸送手段もふまえて荷姿を選ぶ必要があるでしょう。
物流における梱包についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
荷姿の種類
荷姿にはいくつかの種類があり、使われている素材にも違いがあります。ここでは、荷姿の種類と採用されている素材の特徴をチェックしてみましょう。
荷姿に使われる素材
荷姿の梱包素材としては主に紙や段ボール、木材、金属が利用されており、素材によって異なる特徴を持ちます。
荷姿の素材 | 特徴 |
---|---|
紙・段ボール |
|
木材 |
|
金属 |
|
紙・段ボールは軽量で扱いやすい一方で、強度が高くなく、湿気のある場所や荷物を複数個積み上げる場合などの利用は難しいでしょう。対する金属は強度や耐久性に優れており、荷物を積み上げたい場合でも問題なく使用できますが、重量があるぶん輸送コストは高くなる傾向にあります。
それぞれに長所と短所があることをふまえ、荷物の内容や運び方に合わせて荷姿の素材を変えることが、効率的な輸送のポイントです。
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荷姿には、以下のような種類があります。
- カートン(段ボール箱)
- ケース(密閉箱)
- クレート(すかし箱)
- パレット
- バリア
- スキッド
- バンドル
多くのシーンでよく利用される段ボールのほか、特定の条件で利用されるバリアーやスキッドなどが挙げられます。種類ごとの特徴を詳しく見てみましょう。
カートン(段ボール箱)
カートンは、段ボールでできた箱のことです。段ボール製のため軽量で安価、かつ扱いやすいという特徴があります。梱包素材のなかでは一番よく使われている種類であり、特別な素材の梱包材を用いる必要がない場合は、主にカートンを使用することになるでしょう。
ケース(密閉箱)
ケースは、木材や金属の板を張り合わせて作成された箱です。密閉されているため保護性能が高く、防水や防犯、耐衝撃などの効果もあります。
段ボールに比べて重たい素材が使われているぶん、扱いやすさやコスト面では劣りますが、重い製品や傷つきやすい製品、精密機械などの衝撃に弱い貨物に適しているのが特徴です。
クレート(すかし箱)
クレートは、表面に透かしがある木材や金属の板でできた箱のことです。通気性が高く、コストを抑えられるという利点があります。また、中身が透けて見えるため、箱を開けなくても中の荷物を確認することが可能です。
一方で、透けて見えるぶん中に入れる荷物には見極めが必要となるほか、隙間が多く防水性に難がある点には注意しなければなりません。
パレット
パレットは、荷物を一つにまとめられる棚です。フォークリフトを使用することで、移動や積み重ねがしやすいといったメリットがあります。また、荷崩れがしにくいため、大きさや形の異なる荷物を載せるのにも優れているのが特徴です。
パレットの素材としては、木製やスチール、プラスチック製のものなどがあります。載せる商品には透明のフィルムがかけられることが多いため、外から荷物の状態を確認できるのも利点の一つです。
バリア
バリア梱包は、フィルムやアルミニウム箔などでできたバリア材で製品を覆う梱包のことです。バリア材は防水性が高く、湿気を通しにくいことから、サビを防ぐ目的で主に金属製品の梱包に採用されます。また、荷物の大きさや形に左右されないため、精密機械や医療機器などを梱包することも可能です。
スキッド
スキッドとは、荷台に荷物を載せてバンドやフィルムなどで直接固定する方法です。スキッド梱包することで重量物の運搬が便利になるほか、梱包にかかる材料費を減らせるという利点があります。
ただし、梱包材料費を減らせる反面、上部や左右の保護ができないため、荷物の上積みは難しいでしょう。主に大きな荷物を少数輸送する際に採用されています。
バンドル
バンドルは、丈夫な素材で作られたバンドルで荷物を固定する方法です。ケース(密閉箱)などと比べると低コストで梱包できるため、輸送費用を抑えたいときに採用されます。
ただし、輸送時は荷物が壁やほかの荷物と接触する可能性があるため、少しくらいの衝撃を受けても問題のない頑丈なものが対象になるでしょう。
適切な荷姿を選ぶポイント
ここまで紹介してきたとおり、荷姿には多くの種類があり、何を選ぶべきか悩んでしまう方もいるかもしれません。適切な荷姿を選ぶために、以下3つのポイントをおさえておきましょう。
- 荷物の種類
- 輸送手段
- 輸送コスト
それぞれどのような点に着目すればよいか、詳しく解説します。
荷物の種類
輸送する荷物の種類によって、荷姿を適切なものに変える必要があります。例えば、衝撃に弱いものであればケースなどの衝撃に強い梱包、湿気に弱いものであればバリアーやクレートなどの通気性がある梱包方法を選択しましょう。
荷物の性質に合わない梱包方法で輸送してしまった場合、荷物が壊れる、品質が低下する、不備が生じるなどのリスクがあります。特に食品やアパレルなどは、梱包した内部に空洞ができないよう、サイズを見極めることが重要です。
輸送手段
荷物の輸送手段には空運や陸運、海運などがあり、それぞれ適した荷姿が異なります。国内への輸送であれば陸運で完結することもありますが、国際物流(貿易)であれば空運もしくは海運も用いることになるでしょう。
海運は積載量が多くなりやすいため、パレット梱包などを行い輸送効率の向上を図る必要があります。一方で、空運は荷物の量や大きさに制限があることから、カートンやクレートなどの軽くてコンパクトな荷姿を利用するのが適切です。
輸送コスト
輸送コストをふまえて荷姿を選ぶのも一つの方法です。過剰な梱包を行うことで、梱包物の廃棄コストが多くなったり、過重包装による容量オーバーが起こったりする可能性もあります。結果として輸送コストがかさんでしまいかねないため、荷姿を選ぶ際にはコストにも着目すると良いでしょう。
また、小口出荷を減らせば、受け取るお客様の負担を低減させることが可能です。荷物の種類や輸送手段とともに、コストと利便性も考慮することをおすすめします。
まとめ
荷姿とは、商品や資材などを輸送する際の外観を指しており、梱包の状態とも言い換えられます。適切な荷姿を選ぶことで、輸送における効率化や品質の向上が見込めるでしょう。
ただし、荷姿の素材や梱包方法にはいくつもの種類が存在します。適切な荷姿を選ぶには、荷物の種類や輸送手段、輸送コストを基準に判断することが大切です。梱包をはじめとした流通加工に不安やお悩みがある方は、物流業務のアウトソーシングも検討してみましょう。
浜松委托運送では、適切な在庫管理で商品を管理するとともに、梱包を含めた流通加工にも柔軟に対応しております。物流品質の向上や流通加工の効率化をお考えの方は、お気軽にご相談ください。
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