運送時にドライバーが一人しかいない場合、荷物によっては運ぶのが難しかったり、時間がかかったりするケースがあります。こうしたときドライバーの負担を軽減するためにも、荷物に合わせて適切な納品方法を選ぶ必要があります。なかでも、車上渡しはドライバーの負担が少なく済む納品方法です。
本記事では、車上渡しの意味や他の納品方法との違いを解説します。車上渡しに適した荷物も紹介しているため、運送効率を向上させたい方は参考にしてみてください。
■この記事でわかること
- 車上渡しの意味
- 車上渡しを行う際の注意点
目次
車上渡しとは
車上渡しの意味
車上渡しとは、トラックで配送した荷物の受け渡しを荷台の上で行う納品方法のことで、読み方は「しゃじょうわたし」です。車上渡しでは、ドライバーの責任範囲が荷台の上で入れ替わるため、荷下ろしや屋内への荷物の移動などは荷受人の責任になります。
つまり、ドライバーが行うのは荷物の積み込みと荷受人の住所まで荷物を運ぶのみとなり、運送サービスにおけるコストを抑えられるのがメリットです。ただし、ドライバーは荷下ろし作業ができないため、受取人が納品の流れを把握していなければトラブルになる可能性もあります。トラブルを防ぐためにも、事前に双方が契約を理解しておく必要があるでしょう。
他の納品方法との違い
納品方法には、車上渡しの他に「軒下渡し(軒先渡し)」「置場渡し」などがあります。これらの違いは、運送会社の担当範囲および責任範囲であり、いずれの納品方法であっても荷物の責任は受け渡しと同時に移動します。
軒下渡し | ドライバーが荷受人の玄関や搬入口まで持っていき、そこで納品する方法 |
置場渡し | ドライバーが荷受人の指定した場所まで持っていく方法で、玄関や搬入口より先の敷地内まで運ぶこともある |
車上渡しの荷下ろしは荷受人が行う一方で、軒下渡し、置場渡しの荷下ろしはドライバーの仕事です。ドライバーの負担が少ない車上渡しとは反対に、置場渡しは玄関や搬入口よりも先まで運ぶ必要があるため、ドライバーの負担が増しやすくなります。
車上渡しに適した荷物
車上渡しに適しているのは、主に人力では運べない大型で重い荷物です。荷下ろしの際には、荷受人所有のフォークリフトやクレーンが利用されます。
車上渡しに向いている荷物の例は、以下のとおりです。
法人用の荷物 | ・大型の機械、産業用の装置 ・大型ごみステーション ・パレット(複数の荷物をまとめて輸送する場合の荷姿) |
大型の家庭用荷物 | ・洗面化粧台 ・物置 ・冷蔵庫、電化製品などの大型家電 |
法人であれば、会社で使う大型の機械や産業用の装置など、個人の場合は洗面化粧台や大型家電などを運送する機会があります。また、小型の荷物であっても、複数個まとめて輸送されるときにはパレットと呼ばれる荷姿で運ばれ、ファークリフトでの荷下ろしが必要です。このとき運送ドライバーが一人だと、荷物を運び出すのは困難でしょう。
よって、こうした大型の荷物を運送する場合は車上渡しで納品し、荷受人にクレーンなどで対応してもらうのが一般的です。
車上渡しを行う上での注意点
軒下渡しや置場渡しなどの他の方法とは異なり、車上渡しは荷台の上で荷物の責任が入れ替わる納品方法のため、納品作業に時間がかかりやすい傾向にあります。また、スムーズに納品するためには、ドライバーと荷受人のどちらもが契約内容を理解しておかなければなりません。
納品作業に時間がかかってしまう場合がある
車上渡しでは、荷受人が荷下ろしを行いますが、到着時に荷受人の事情により作業ができない場合があります。例えば、フォークリフトやクレーンの資格を持つ人がトラックの到着時にいない場合、その時点では荷下ろしができません。また、それらの免許があっても、スキルによっては荷物を傷つけてしまうため、養生に時間がかかったり、手作業で荷物を運ばなければならなかったりするケースもあります。
こうした場面でも、荷物の責任関係でドライバーは荷下ろしを手伝えません。結果として納品作業に時間を使ってしまい、次の納品場所などへの移動が遅れることもあるでしょう。
運送時の契約によるトラブルに注意する
運送時の納品方法は契約で決まっており、双方が契約を理解していない場合、納品時にトラブルが発生する恐れがあります。状況によっては、車上渡し契約のときでも、ドライバーがサービスで荷下ろしを手伝うことがあるでしょう。この場合に荷物の破損があっても、責任は荷受人にあるため、運送会社側が責任をとることはありません。
ただし、荷受人が荷下ろしの手伝いをドライバーに強制した場合には、下請法という法律に違反する可能性があります。不要なトラブルを避けるためにも、納品方法や責任範囲を双方がしっかりと把握しておくようにしましょう。
まとめ
物流業界における車上渡しとは、配送した荷物を荷台の上で受け渡す納品方法です。重量のある荷物を運送する際に多く利用される方法で、ドライバー側が荷下ろしを行う必要がなく、負担を軽減できるといったメリットがあります。
ただし、荷受人側の状況によってはすぐに荷下ろし作業ができず、納品に時間がかかってしまうこともあるでしょう。また、双方が契約を理解していない場合、荷下ろしや玄関までの配送を頼まれることもあるかもしれません。
しかし、車上渡しは荷下ろしの時点で責任が荷受人に移るため、万が一破損してしまった場合のトラブルには注意が必要です。車上渡しにおいて、ドライバーの仕事はあくまでも荷物の運送のみとなるため、荷受人にも納品条件を理解していてもらうことが大切になります。
この記事は執筆された時点での情報を元に記載されております。文書・写真・イラスト・リンク等の情報については、慎重に管理しておりますが、閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。記載内容や権利(写真・イラスト)に関するお問合せ等はこちら