通販など様々な会社のご担当者や経営者の方々で在庫管理に頭を悩ませている方は多いのではないでしょうか。
とくに、在庫管理が曖昧になってしまっていて、ただ単に自社の通販サイトなどで、販売機会の損失だけを恐れて過剰在庫になってしまっている、どうしたら改善できるのかというお悩みをよく相談されます。
そんなお悩みの方へ向けて、今回は在庫管理で一番陥りやすい過剰在庫について
1:在庫管理で一番陥りやすい過剰在庫に潜むリスク
2:在庫管理で一番陥りやすい過剰在庫になってしまう原因とは
3:在庫管理で一番陥りやすい過剰在庫の改善方法
の内容でお伝えしていきたいと思います。
「在庫」とは、倉庫や保管場所に置かれた、販売されていない状態の商品のことを言います。
そして、「過剰在庫」は、需要以上の在庫を保有してしまっている状態のことをいいます。
在庫自体は資金を在庫に変えたということになりますので、会社にとって販売機会を維持する重要な資産のひとつでもあります。
しかし、在庫が適切な量でなければ通販など会社そのものの存続自体を危うくするリスクをも含む脅威にもなりえ、改善が必要です。それでは、「過剰在庫」には、どのようなリスクが潜んでいるのでしょうか?
目次
過剰在庫に潜むリスク
商品の品質劣化と陳腐化
必要以上に抱える在庫は、長い期間保管・保存しなければならないので、品質の劣化が起こります。分かり易い例をあげると、食品メーカーやスーパーなど、賞味期限の過ぎた食品は販売することができずに、廃棄しなければなりません。もしくは、賞味期限内であっても期限に近いものは廃棄を防ぐために値下げ販売をすることがほとんどです。その場合は、通常見込んでいた利益には届かず、下手をすれば元本割れすることもあり、過剰在庫はマイナス経営になっていきます。
また、アパレル等の賞味期限がない商品でも、通販等で一時的にブームとなった商品の売れ時を見誤り、大量に在庫にした商品を抱えることがあります。当然ブームが過ぎた後は価値が下がってしまい、陳腐化します。陳腐化した商品は売れていた時期に付けていた値段では全く売れなくなってしまい、値下げするしかなく、損失を発生させる結果となります。
管理費用のアップ
通販サイトなどで長い期間売れないということは、倉庫や保管場所に長期に渡り置いておく必要があります。
在庫の保管には、倉庫ならば賃貸料、固定資産税、光熱費等がかかります。また大量の在庫の場合は管理する手間も増えますので、そのための人件費もかかります。
会社のキャッシュフローの悪化
ズバリ、、、 在庫=お金 です。今ある在庫を売って現金化できれば、会社に残るキャッシュが増えます。在庫は財務諸表上は資産ですが、資本を固定化されてしまうため、キャッシュのように自由に使える資本が減ることにつながります。会社は赤字になってもすぐに倒産しませんが、キャッシュがなくなると簡単に倒産してしまいます。とくに粗利率の低い商品の在庫過多は非常に危険で、直ちに改善しなければいけません。
それでは、過剰在庫の状態になる原因は何でしょうか。
過剰在庫の原因
過剰発注
通販サイトなどで、販売機会の損失があった場合にその改善を先走り、過剰発注してしまうことがあります。また、最近は顧客のニーズも様々なので、適切に納品対応するために多めの発注をしてしまいがちです。他にも、リードタイム(発注から納品までに必要な時間)が長い商品は欠品の可能性が高まりやすいので、こちらも過剰発注をかけてしまうケースが多いです。卸売業などでは仕入れ量によって仕入れ単価が下がることが多いので、このようなケースも過剰発注となりがちです。
在庫の管理が徹底されていない
意外と多いのが、会社自体で過剰在庫を把握していないケースです。在庫管理の責任者を決めていなかったり、在庫管理に必要な情報を他部署間で共有できていなかったり、在庫管理のそもそものルールを明確にしていないケースなどがあります。ルールができていないと現場の実際の在庫数と帳簿上で数が合わなくなることが多い為、欠品などのトラブルが発生し、余分な発注に繋がります。
また、倉庫内の保管場所であるロケーションの管理もされていないので、どこにどの商品がどれだけという把握がシンプルにできず、余分な在庫が増えていくというケースもあります。
返品の増加
返品商品によって在庫が増えてしまうという原因もあります。返品は、出荷した商品の品質に問題があるケースもありますが、通販や、ネット販売等では思っていたものと違うという購入者の主観的な判断などの理由も多く、予測しにくい上に、傷や汚れがついて返品されてしまうと再販売するにも手間がかかるので在庫のまま放置されがちです。
このように様々な理由から発生する過剰在庫を解決するにはどのような対策が有効なのでしょうか?
過剰在庫の解決方法
社員に理解させ過剰在庫を改善する
まずは、在庫を適切な量に保つことの重要性を社員やスタッフに理解してもらうことが大切です。会社が大きければ大きいほど、一社員にとって在庫はただ単に景色の一部となってしまうことが多いのです。資金繰りのことまで考える、となるとハードルが高いかもしれませんが、在庫=お金であることや、その在庫が眠ったままになっているとなぜ悪なのかを説明して理解してもらう必要があります。社員の意識改革は予想以上に数字に表れ、改善が早まります。
在庫管理責任者を配置し過剰在庫を改善する
個々の在庫や全体の状態を全て把握している人を置くことが大切です。在庫状況を正確に確認している人がいないと、在庫量の調節ができずに、各担当者任せになり、自分本位の狭い考えから無駄な在庫が増えてしまいます。また、責任者を置くことで関係部署への報告や提案ができ、無駄な在庫を減らす改善につながります。
在庫場所の整理整頓で過剰在庫を改善する
定期的に整頓する日を決め、保管場所を徹底的にきれいにすることをお勧めします。保管場所が整理されれば、在庫量が増えると一目瞭然になりますので、在庫を増やすことに躊躇するようになります。
どこに何があるかわからない状態では、全体の在庫状況を正しく把握することはできません。
在庫の可視化で過剰在庫を改善する
整理整頓ができたら、次は在庫の可視化です。各商品の保管場所を明確に決めておきます。在庫の位置と量が、だれでもすぐに分かるような環境にし、その状態を維持することが大切です。
需要マネジメントで過剰在庫を改善する
売上を伸ばすために、売れる商品を把握することはどこの企業もできているところは多いかもしれませんが、過剰在庫の削減には、売れ行きがイマイチな商品も把握する必要があります。売れない商品を分析して、在庫に関するデータをまとめて、販売会議等で正確な需要予想や仕入れ計画が可能になれば、在庫過多になることも防げます。
在庫管理システムの導入で過剰在庫を改善する
納品までのスピードが必要な物流は、リアルタイムで在庫数や保管場所等を瞬時に把握できる在庫管理システムはかなり重要です。商品の数や種類が多い、通販・ネット販売業や小売業者などは、特に導入した方が結果的に無駄を減らし、利益を生み出す場合がほとんどです。また、在庫管理システムを導入し、在庫の正確なデータを持つことは、過剰在庫を防ぐだけでなく、いつ・誰が・どれだけ購入したか等をいろんな角度から分析できるため、マーケティング、商品開発等でも重要なデータ材料となります。
物流で一番よいのは、用意できた商品がすぐに販売され、お客様のお手元に届くことです。
しかしながら、在庫を多少抱えることは避けることはできない業態の方がほとんどです。
過剰在庫で悩んでいる通販・物流業者、小売業、卸売業の方々などへむけて、過剰在庫のリスク、原因、解決方法の順で今回はお伝えしました!
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